米政府がイラクの過激派「イスラム国」への軍事作戦で、米国製装備に悩まされている。米軍が提供したイラク治安部隊の装備を奪われ、テロ活動に利用しているとみられる。イラク支援のために高機能の装備を提供してきた米政府には皮肉な結果になった。
7台の「ハンビー」と1台の「MRAP」を破壊した――。米中央軍は8日から始めたイラク空爆で、多数の「イスラム国」の装備を爆撃したと報告した。ハンビーは米国製の軍用車両で、イラク治安部隊が利用している。MRAPは米軍がイラク駐留部隊向けに配備した地雷に強い装甲車両だ。
米政府は2011年にイラク駐留部隊を撤退させたが、その後もイラク治安部隊に装備を提供してきた。米議会調査局によると、12年時点で116億ドル(約1兆2千億円)分の装備をイラクに提供した。
米国防総省は米軍装備がイスラム国に渡ったかは明言していない。イラク治安部隊は「イスラム国」の攻勢を受けて多数の装備を放棄して撤退したとされる。(ワシントン=川合智之)
ハンビー、イスラム国、MRAP、イラク、米政府