トップ > 福井 > 8月16日の記事一覧 > 記事
福井配布に課題山積み ヨウ素剤で県と高浜町
再稼働に向けて関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)の適合審査が進む中、原発事故時に住民の甲状腺被ばくを防ぐ「安定ヨウ素剤」の事前配布について、県と高浜町が頭を悩ませている。本年度中に住民向けの説明会を共催する方針だが、スタッフの確保、投与の判断方法、配布後の管理など、課題は尽きない。 ■人員確保 「説明会を九回開き、いつでも参加できる方式の鹿児島県薩摩川内市でさえ、配布し終えたのは対象者の半数。状況の異なる福井県で、どれだけ配布率を高められるか」。県地域医療課の坂本康一主任は厳しい表情を浮かべる。 九州電力川内原発がある薩摩川内市の場合、人口九万七千人のうち四千七百人が配布対象だが、人口一万人余の高浜町は八割の八千百六十人。十分の一の自治体規模で倍近い対象者に対応しなければならない。 説明会を開くには、自治体職員に加え、医師、薬剤師、保健師が必要になる。坂本主任が視察で訪れた薩摩川内市の会場では、住民四百人に対応するため計四十人態勢。「通常の会議と比べ、スタッフは相当多い。町で足りない人員は県が手当しなければ」と医師会や薬剤師会と交渉に当たる。 ■判断態勢 高浜町は、説明会を開く回数を「二十回程度」と見通す。ただ、「薩摩川内市と同じやり方の場合」との条件付きだ。 安定ヨウ素剤は副作用があるため、住民が書いたチェックシートを基に判断する。「服用不適」や「慎重投与」の該当項目に印があれば医師の判断を仰ぐのが基本だが、一会場にいる医師は二人ほど。すべて医師に回すと対応し切れない。 薩摩川内市では、まず保健師がチェックシートを見て対応の難易度を判断。住民を医師、薬剤師、保健師と三ブースに振り分け、効率化を図った。高浜町防災安全課の後藤秀徳主事は「振り分けの基準次第で医師の仕事量が変わる」と、説明会の回数が増える可能性に言及する。 ■服用指示 配布後、住民が誤飲したり紛失したりするケースも考えられる。県は住民の不安に一元的に対応する窓口の設置を国に求めており、国の返事待ちだ。 安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素を吸入する前に服用する必要がある一方、効果は二十四時間と短い。服用のタイミングは早すぎても遅すぎてもいけない。実際に原発事故が起きた際は、国や県が服用の指示を出すが、住民に伝える広報が重要となる。 高浜町は、各世帯に設置した機器「告知放送」に加え、町内五十五機の行政無線、携帯電話の緊急速報「エリアメール」、広報車などさまざまな手段を駆使する考えだ。備える作業に終わりはない。 (西尾述志) <安定ヨウ素剤> 医師の処方箋が必要な医薬品。原発事故の発生時、放出される「放射性ヨウ素」による内部被ばくを防ぐ。事前に飲む必要があり、効果は24時間。副作用もある。東京電力福島第一原発事故で備蓄した安定ヨウ素剤が活用できなかった教訓から、原発から5キロ圏内の住民に自治体が事前配布することになっている。3歳未満の乳幼児と服用不適と判断された人には配らず、優先的に避難させる方針。 PR情報 おすすめサイトads by adingo
');
}
// -->
|
Search | 検索