西之島:崩落の恐れ 父島に1メートル超の津波も
毎日新聞 2014年08月19日 11時01分(最終更新 08月19日 11時58分)
活発な火山活動による島の面積拡大が続いている小笠原諸島の西之島(東京都小笠原村)について、溶岩の流出がこのまま続けば斜面が崩落して父島に津波が押し寄せる恐れがあるとの分析結果を、前野深・東京大地震研究所助教(火山地質学)のチームがまとめた。父島側の東斜面が崩れると、津波は高さ1メートル超に達する可能性があるとしている。
昨年11月、西之島の南東沖に新島が出現し、12月末に西之島とつながった。今も1日20万立方メートル程度の溶岩が噴出し、主に島の東側に流れており、地形が不安定になっている。
溶岩でできた陸地はもろく、ハワイ・キラウエア火山などでも崩落が起きている。前野助教らが4パターンの崩落をシミュレーションしたところ、島の東側で総体積の約4分の1に当たる1200万立方メートルが崩れた場合、約130キロ離れた父島に17〜19分で津波の第1波が到達し、高さは0.5〜1メートル超になるとの結果が出た。津波は2〜3分おきに何度か押し寄せるという。
西之島は現在、常時監視はしていない。前野助教は「崩落がいつ起こるかの予想は難しい。現地に地震計や津波計を設置すれば、避難に役立てられる」と話す。【清水健二】