コラム:ジャクソンホールは無風か、低金利継続の論拠=岩下真理氏
岩下真理 SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト
[東京 18日] - 毎年8月下旬に、夏の終わりの風物詩、カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウムが米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される。
1978年以降、風光明媚なロッキー山脈の避暑地で、世界経済が直面する重要な問題をテーマに議論が繰り広げられてきた。この会合は、岩田一政・元日銀副総裁が著書「デフレとの闘い」で何度も触れるほど、中央銀行間の重要な情報交換の場と位置付けられている。比較的小さな会場の座席は100席強で、参加メンバーの内訳は中央銀行関係者、経済学者、マスコミなどで3分しているようだ。
この会合が、市場の脚光を浴びるようになったのは2010年以降。4年前の8月27日に当時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で「経済見通しが悪化した場合、追加緩和を実施する用意がある」と語り、具体的に3つの緩和策の案まで示唆したからだ。
その後の市場では量的緩和第二弾(QE2)への期待が高まり、債券は堅調推移、株式は戻り歩調を辿った。その一方で為替市場では8月から9月にかけて円高(ドル安)が進行した。日銀は8月30日に臨時会合で追加緩和決定に追い込まれ、9月15日には日本政府が6年半ぶりに為替介入を実施と、大変な夏を過ごしたのである。実際にQE2は11月2日に決定され、振り返ればバーナンキ当時議長のジャクソンホールでの講演は2カ月余り前の地ならしであった。
今年も、このシンポジウムが21―23日に開催される。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によれば、資産購入を10月に終え、最後は150億ドル削減で終了することで概ね合意したことが明らかになった。
10月28・29日開催のFOMCまで残り2カ月強となる現在、2010年を思い出せば非常に重要なタイミングであるのは確かだ。しかし、今年の討論テーマは「労働市場のダイナミックスの再評価」。これまで「労働の質」に対するこだわりの強さを示してきたイエレンFRB議長だけに、このテーマでは従来通り、利上げを急いでいない姿勢を示す可能性のほうが高いだろう。よって、22日の講演では、利上げ時期に関する新たなメッセージが出てくる可能性は低いと筆者はみている。
<イエレン議長に強力なハト派の援軍> 続く...