黒人青年射殺:ミズーリ州兵を投入…混乱拡大で知事命令

毎日新聞 2014年08月18日 23時36分(最終更新 08月19日 02時16分)

デモ参加者による略奪に遭った商店前で銃を構える警察官たち=米中西部ミズーリ州ファーガソン近郊で2014年8月17日、ロイター
デモ参加者による略奪に遭った商店前で銃を構える警察官たち=米中西部ミズーリ州ファーガソン近郊で2014年8月17日、ロイター

 【ニューヨーク草野和彦】米中西部ミズーリ州ファーガソンで起きた白人警官による黒人青年射殺事件で、抗議のデモ隊と警察は17日夜も衝突し、混乱が拡大した。ニクソン州知事は18日未明、治安回復と住民保護のため、州兵を投入する行政命令に署名したと発表した。

 知事は16日にファーガソンに非常事態を宣言し、午前0〜5時の夜間外出禁止令も発令していた。知事は声明で、「平和的な抗議の夜が、組織的で、拡大する暴力的な犯罪行為により台無しになった」と非難。暴徒たちの多くが地域や同州以外からのデモ参加者で、「ファーガソンの住民や商売を危険にさらしている」と指摘した。

 州兵は、米軍の一員として国外の戦場に派遣されるほか、国内の大規模災害や暴動の際の治安維持に当たる。最近では1992年のロサンゼルス暴動や、2005年のハリケーン「カトリーナ」の際に出動した。今回はデモ対応に当たっている州警察を支援する。

 警察側の説明によると、17日夜、ショッピングセンターにある警察隊の指揮所に数百人のデモ集団が近づき、火炎瓶を投げた。別のハンバーガーショップもデモ集団に襲撃され、警官隊に向けた発砲もあった。警察は催涙弾やゴム弾で対処し、デモ参加側の3人が負傷し、7〜8人が逮捕された。夜間外出禁止の開始時間の18日午前0時までには事態は沈静化したが、州兵投入へのデモ抗議参加者の反発が予想され、混乱がさらに拡大する可能性もある。

 一方、米メディアによると、9日に白人警官に射殺されたマイケル・ブラウンさん(18)の遺体に関し、遺族の依頼を受けた専門家が17日、「少なくとも6発の銃撃を受け、うち2発は頭部を撃った」という内容の検視結果を明らかにした。

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