仕事や生き方に多様性が見られるようになってきた近年、英語や他言語の習得だけでなく根本的な発想の転換が必要とされることも増えているのではないでしょうか。
今回は私たち Evernote 社員が仕事で日常的に海外の同僚とやりとりしているなかで体得した、コミュニケーションに役立つコツをご紹介します。
Don’t Assume Anything. 「当たり前」とは思い込みだと理解する
アメリカやシンガポール、ルクセンブルグなど移民の多い国は「宗教や文化が違うから、考えも違って当然」という考えが広まっているようですが、日本は今まで「言わなくても通じる」部分が多かった背景があります。
そこで覚えておきたいのが、生まれ育った環境や時代によって「当然」「常識」は異なることが多いということ。国籍や出身地だけでなく、世代間の交流スタイルの違いでもすれ違いが問題になることも。どうしても自分を基準に考えてしまいがちですが、違いは普通あるものと認識し、対応方法を知っておくだけで戸惑いやストレスは減ります。
特に違いが顕著に見られやすいのが、人との距離や時間に対する考え方、ユーモアなど。
- 例えば会って間もない人に給料や結婚しているのか聞いておかしくない文化もあれば、「ずいぶん個人的なことを聞く人だ」と面食らったり。
- 約束の時間の少し前に行くのが礼儀の場所があれば失礼にあたるところがあったり、できるだけハッキリ発言するのが親切という風習に対してやんわりと伝えるのがマナーという考え方も。
- 自虐的ユーモアや皮肉の利いたジョークに慣れている人と話している際、真に受けてしまうと正反対のことを意味していることもあります。
要点を押さえる
考えに違いがあるということは、認識のズレが生じやすいということです。特に仕事の場では、誤解をまねかない表現をするように努めたいもの。論理的に、一番言いたいことを中心にして細かいことは省くとメッセージが伝わりやすいでしょう。相対(relative)でなく、絶対(absolute)的な値で話すとミスコミュニケーションが減ります。
注意を払えば簡単にミスを減らせる部分は…
- 日時: 「次の日曜」「1 週間後」でなく「日本時間 15 日の 17:00 まで」
- 金額: 単位は円なのかドルなのか、月単位か一回きりか、税は含まれるのか
- 単位: 金額の他、サイズや重さ、距離、温度
- 書式: 国によって書き方の違うものに注意
- 年月(8/4 は 8 月 4 日か 4 月 8 日か)
- コンマとピリオド(千二百三十四点五六は 1,234.56 か 1.234,56 か)
- 数値・番号: 「少しだけ」でなく「25 ピクセル」、「最新版」でなく「型番 A0123」
テキストに頼らず視覚的情報や数値も使って確認する
性格や特性、業種や職種によっても表現のスタイルは異なります。文章で説明するだけでは伝わりにくくても、画像やグラフを使えば一瞬で伝達できる情報量は飛躍的に増えるため、要所要所で取り入れると効果的です。
- 紙に描く: その場でパッと見せるだけで、レイアウトや大きさ、雰囲気など見えなかった問題や意識の違いがわかることも。
- Skitchなどお絵描きアプリで指摘: 注意を引きたい部分を丸で囲ったり矢印で指したり、ビジュアルを使って明確化。
- Evernote に保存・共有: 口頭で伝えきれない背景や付加的情報の画像やグラフを1ヶ所にまとめ、手間なくシェア。
- 箇条書きにする: 長い文章だと読み飛ばされてしまいがちな内容を、短く見せて伝わりやすく。
今回ご紹介したいくつかの点は、海外の方と接する機会があるかないかに関わらず、様々な背景を持つ人にメッセージを伝える技術として覚えておくと便利かもしれません。