小池良次「シリコンバレー・イノベーション」

ソフトバンク対ドイツテレコム:買収断念後のSprintと米携帯業界のゆくえ

2014年08月19日(火) 小池良次(Ryoji Koike)
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〔PHOTO〕gettyimages

米携帯トップ4社の第2四半期決算が出揃った。T-Mobile US社は常識を覆すディスカウント戦略で好調を維持する一方、同社買収を断念したソフトバンクの波紋を含め一人負けが続くSprint社。一方、携帯トップを走るベライゾンはスマホの売れ行きに懸念が広がるなか、タブレット販売を軸とするポスト・スマホ戦略を展開している。各社の最新決算を見ながら、買収が遠のいたT-MobileとSprintの動向を追ってみよう。

米携帯業界の2014年第2四半期(以下14Q2)、携帯データの売上が全体の55%を占めるまでに増加したにもかかわらず、業界全体の売上は2%減少した。これは最近では珍しい大幅な減少だ。

過去、音声サービスの減少をデータ売上が補い、米国の市場規模は拡大してきた。今後、音声サービス売上の減少が加速し「市場規模の減少」に転じるか、2%の減少が「一時的な現象」なのかは予断を許さない。

ソフトバンクの買収が消えたT-Mobile社は単独経営へ

2014年第2四半期の注目は、業界4位T-Mobile US社の躍進だ。新規加入者は90万8,000加入(ポストペイド)、特に携帯端末の加入者が57万9,000加入と業界トップを記録した。市場成熟でスマホの売れ行きが鈍る中、同社は端末売上が拡大している。

同新規加入者の約85%が新規で、プリペイド・プランからの移行は8.5万加入と少ない。また、プリペイドの新規加入者は10万2,000と、こちらも好調だ。

同社は2009年頃、加入者の純減で破綻の淵に立たされていた。しかし、同社のJohn Legere最高経営責任者は14年8月6日、「プリペイド加入者が1,564万加入に達し、業界トップに立った」と宣言し、復活をアピールしている。

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