「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」

「すき家」化するニッポンと“疲れの借金”に絶息する私たち

“人間的な働き方”をもう一度見直そう

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2014年8月19日(火)

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 毎年この時期になると、「フランス人になりたかった」と、真剣に思う。今年も例外ではなかった。

 しかも、今回はどういうわけか、「1週目は読書三昧、2週目はバレエ、ゴルフ、バレエで、3週目は……」と、かなり具体的なバカンス妄想モードに突入していた。
挙句の果てに、

 「働かないアリになりたい……」
 「うん、私も……」

と、合言葉のごとく友人たちとつぶやきあった(働かないアリについては、こちらをどうぞ !)。

 そうなのだ。お盆前あたりからジワジワと遠のいていった“やる気”が、お盆中、完全に失せた。しかも困ったことに、お盆明けの今、どうやってやる気エンジンをかければいいのか、わからなくなった。

 やる気がないわけじゃない。出ない。どうやっても出ない…のである。

 とはいえ、こんな風にぼやいていられるのも、今の内。次第に世の中の波に呑まれ、やる気が出ようが出まいが、やらなくちゃいけなくなる。とにもかくにも、「やらなきゃ」いけなくなっていくのだ。

 そもそも人間には、「疲れる→休む→回復する」という「回復のサイクル」があり、心身ともに元気になれば自ずと英気が養われ、やる気は出る。やる気があるのに、やる気が出ない、なんて、わけのわからないことは起こらないシステムを、人はちゃんと備えている。

 つまり、やる気があるのに出ないのは、異常な状態。

 おそらく、“私たち”は(私、ではなく“私たち”とさせてください)、私たちが考えている以上に疲れている。回復のサイクルが機能しない、“非人間的な働き方”をしているのである。

 先日、「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会の報告が公表され、まるで“蟹工船”のような労働環境に唖然とした方も多いはず。

 でも、私は報告書を読んで、
「この問題って、すき家に限った問題じゃないなぁ」
と率直に感じた。

 多かれ少なかれ、どこの企業にも似たような問題が存在しているんじゃないか、と。

 つまり、“人”という概念が欠けた働かせ方に、疑問1つ持たない人たちがいる。そして、働いている人たちも、そのことにうすうす気が付きながらも、それを受け入れてしまっているのではないか、と。過酷な労働の先に “楽園があるかも”なんて幻想が、そうさせているのである。

 そこで今回は、すき家問題から、「人間的な働き方」について、あれこれ考えてみようと思う。

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