銀行が集めた預金のうち融資に回した比率「預貸率」に数値目標を課す案が自民党内で浮上した。米リーマン・ショックの起きた2008年からくすぶっている案だが、銀行の貸出金は足元では伸び続けており、規制論には戸惑いの声も広がっている。
「預貸率の数値目標を持たせるべきだ」。18日の自民党・無駄撲滅プロジェクトチーム。中小企業対策の効果を上げるための提言に銀行の融資促進を求める預貸率規制を明記した。具体的な数値は示さなかったが、「銀行の預貸率は非常に低い状態にある」と銀行への不満を前面に出した。
預貸率規制は古くて新しいテーマだ。リーマン後の08年末には地元企業への貸し渋りに敏感な政治家が持ち出し、金融庁担当の政務官が銀行の貸し出し状況を日次で監視するよう唱えたり、自民党内でも規制導入を訴える強硬派が増えた。
いまも銀行の預貸率が低いのは事実。東京商工リサーチによると、銀行(113行)の預金と貸出金の差額は昨年9月末時点で217兆円。11年3月末より1割膨らんだ。預貸率も同じ期間に68.59%から67.95%へ低下した。
ただ自民党の提言に沿った規制が実現するかは微妙だ。金融庁は新規融資の拡大を求める路線を軌道修正。「リスク管理の甘い融資を増やされては困る」(幹部)と地銀の県外融資拡大などに神経をとがらせている。
全国銀行協会によると、14年3月期の銀行の貸出金は3年連続で前年を上回り、直近は2.5%増えた。銀行に個人がお金を預ける流れは続いており、銀行界には「融資の伸びを上回る預金の集まり方に課題がある」との反論がくすぶる。
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