3年で約3割にも達すると言われる新入社員の離職率。人手不足感が高まる中、せっかく採用した人材を何とかつなぎ止め、戦力として育てなければという企業の危機意識も増している。
中小企業約3000社に採用・教育サービスを提供しているジェイック(東京都千代田区)は今年7月、2014年4月入社の新入社員523人に対して入社3カ月後の意識調査を実施した。それによれば、既に「退職を考えたことがある」という新入社員が28%に達していた。
「職場に尊敬する先輩・上司がいるか」「上司が自分の成長に関心を持っていると感じているか」といった質問への回答と、退職を考えたことの有無との相関関係を調べてみると、尊敬できる先輩・上司の存在などが、「退職リスク」を低下させていることが判明した。
ジェイックの佐藤剛志社長に、調査から分かった傾向や、上司や先輩が新入社員にどう接し、育てればいいかなどを聞いた。
ジェイックが実施した2014年4月入社の新入社員に対する入社3カ月後の意識調査で、既に「退職を考えたことがある」という新入社員が28%にも達しました。せっかく採用した人材の離職を防ぐには、何が有効なのでしょうか。
佐藤:私どもの調査からは、「退職を考えたことがある」と強く関係する3つの要素が浮かび上がってきました。
1986年早稲田大学卒業後、大手コンサルティング会社に入社。97年ジェイック専務、2000年代表取締役社長に就任。
1つは、「職場に『将来こうなりたい』と憧れる先輩、上司はいますか?」という質問です。「尊敬する先輩・上司が3人以上いる」という新入社員の84%が「退職を考えたことはない」とする一方、「尊敬する先輩・上司が1人もいない」という新入社員の70%が「退職を考えたことがある」と回答しています。つまり、尊敬する先輩・上司の存在が退職リスクを押し下げているんですね。
2つ目は、「上司が自分の成長に関心を持っていると感じるか」。「強くそう思う」という人の82%が「退職を考えたことはない」としているのに対し、「そう思わない」という人の62%が「退職を考えたことがある」と答えています。尊敬している先輩・上司の存在と同様に、強い関係を示しています。