2014年8月18日21時18分
近畿地方北部を襲った豪雨災害で、京都府福知山市の床上・床下浸水被害は計2400棟以上になった。局地的な大雨で、市街地を中心に内水氾濫(はんらん)などが起きたため。福知山市の排水ポンプ場の一つは豪雨の最中、想定を超えた量の雨水で浸水して故障し、排水作業が止まっていた。
福知山市が18日、各自治会からの連絡をもとに浸水被害の状況をまとめた。17日までは1千棟超としていたが、18日午後3時までの集計で、床上が1155棟、床下が1296棟に上ったという。昨年9月の台風18号の影響で、由良川が氾濫した時の被害計約1100棟の倍以上になる。今回は由良川はあふれていないものの、市街地の中心部が浸水したことが背景にある。松山正治市長は「被害の全体像はまだ把握できていない」と語った。
豪雨の最中に故障したのは、由良川沿いにある「和久市(わくいち)ポンプ場」の4台のポンプ。17日早朝、処理能力を超える雨水が流れ込んで水があふれ、稼働させるディーゼルエンジンが水をかぶって故障した。ポンプ室の床面は地上とほぼ同じ高さに設けられ、約1メートル浸水したという。
故障直前の午前4時台にアメダスが観測した福知山市の1時間雨量は50ミリで、ポンプ場が想定する40ミリを超えていた。本来なら下水道から流れてくる雨水などを1分間に計500立方メートル、川へ排水する能力があるが、故障で排水作業が止まったという。
ポンプ場は1963年から稼働している。市下水道課は「排水作業ができなくなったことで、結果的に市街地に広がった水量が増えてしまった可能性はある。50年間でポンプ室に水が入ったことはこれまでなく、想定できていなかった。今後、防水対策などを施したい」と説明している。
被災した地域では18日、復旧作業が本格化した。自宅の床上40センチまで泥水が流れ込んだという同市和久市町地区の会社員、遠藤幸治さん(39)は、ホースで水をまいて掃除をしていた。「家の中が、どぶ川みたいな臭いがして耐えられない。昨日はお盆休みの最終日でのんびりしたかったのに、台無しだ」と嘆いた。
京都府の山田啓二知事は18日午前、ヘリコプターで現地に入り、被災状況を視察した。府は同日、福知山市に対し、被災世帯に最大300万円の補助が出る被災者生活再建支援法の適用を決めた。
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朝日新聞社会部
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