シリア日本人拘束:捕虜交換を模索…男性が随行の組織

毎日新聞 2014年08月18日 23時31分(最終更新 08月18日 23時52分)

イスラム国が支配または攻撃する地域
イスラム国が支配または攻撃する地域

 【カイロ秋山信一】内戦中のシリア北部アレッポ郊外で日本人男性がイスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されたとされる事件で、反体制派武装組織「ムジャヒディン軍」の報道担当者は18日、毎日新聞の電話取材に対し、前線で同軍に随行していた日本人男性が拘束されたことを明らかにした。捕虜交換によって男性の解放を目指しているという。

 関係者によると、拘束情報がある男性は千葉市在住の湯川遥菜(はるな)さんとみられる。イスラム国は釈放を希望する捕虜のリストを提示したが、ムジャヒディン軍が把握していない捕虜も多く、交渉は難航しているという。

 ムジャヒディン軍はシリアのアサド政権と戦う反体制派の主要武装組織の一つで、最大勢力「イスラム戦線」と連携している。いずれもイスラム国とは対立、戦闘を繰り返している。報道担当者によると、湯川さんとみられる男性は7月ごろにトルコ東部キリスからシリア北部アザーズに入国し、カメラマンとしてムジャヒディン軍の部隊に同行していた。8月15日にアレッポの北約30キロのマレア近郊での戦闘に巻き込まれ、イスラム国に拘束された。

 動画投稿サイトの映像には、この男性が銃を所持しており、イスラム国の戦闘員から「おまえは米中央情報局(CIA)か」と疑われている様子が映っている。ムジャヒディン軍の報道担当者は取材に「銃は見せかけだけで戦闘には参加していない。前線には行かないように警告していた」と説明した。

 ムジャヒディン軍やイスラム戦線は16日以降、男性の解放についてイスラム国と交渉を続けている。イスラム国の一部部隊は捕虜交換に前向きで、交換要員の名簿を提示したという。ただ名簿には、ムジャヒディン軍やイスラム戦線が把握していない戦闘員も多いという。イスラム国側は一枚岩ではなく、相手によって交渉に否定的なグループもある。

 ムジャヒディン軍の報道担当者によると、これまでに日本政府から同軍への接触はないという。在シリア大使館が閉鎖中のため、政府は隣国ヨルダンを拠点に情報収集を進めている。

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