M08:反撃の狼煙
ブリーフィング
お前達の活躍で連合軍はヤーハンへ無事に撤退した。これを基盤にして増援が次々と到着して大規模反撃の準備を進めている。
近い内に反撃が始まるがそう簡単にはいかないだろう。
情報ではコルベルト軍港に無敵艦隊こと第1海洋遠征艦隊‘‘プリチャブスキ”が到着し決戦の準備を進めているようだ。
連合軍総司令部は準備が整う前にプリチャブスキ艦隊への攻撃を可決し、まずは石油精製施設へ爆撃して湾内に足止めさせる。
マリア中尉のギガントは直ちに出撃して精製施設を破壊せよ。
数度の上陸阻止と陸上部隊の撤退完了により連合軍とルーチェ軍の間に膠着状態が再び発生した。
数で勝るルーチェ軍は空軍主体で連合軍臨時総司令部となったヤーハンへ部隊を派遣したが精鋭揃いの連合空軍により損害を増やしていた。
だが近々大規模攻勢を計画しているようであり、情報によればルーチェ海軍が制圧したコルベルト軍港に無敵艦隊と称ばれた第1海洋遠征艦隊‘‘プリチャブスキ”を集結させて決戦を挑もうとしているようだ。
だが無敵と称ばれたプリチャブスキ艦隊を沈める絶好の機会でもあり、作戦司令部は前準備として艦隊の補給路を遮断することを可決。
アヴァロンに重要な任務を任せ、マリア中尉が機長を務めるギガントが離陸。B-1Bが低空を飛行していた。
「マーリンからギガントリーダー」
「こちらギガントリーダー。感度良好」
「クレイグ空軍のグローバルホーク無人偵察機からの情報によると目標の石油精製施設周辺に対空火器を複数確認した」
「了解マーリン。ハエ叩きに注意しながら低空飛行を継続するわ」
「頼んだぞ」
敵のレーダー範囲外にいるマーリンからの警告を聞いてギガントは高度500ft以下を維持し、レーダーに捕捉されるのを防ぐ。
「ギガント、敵レーダー範囲を可視化した。HMDにて確認せよ。なお、敵技術士官はフィールド変更コマンドを使用している。レーダー範囲が常に変更しているから注意して進め」
「厄介なものを使ってるわね……戦闘機みたいにかわして見せるわ」
「支援部隊としてラウンズ隊とウォーウルフ隊を向かわせた。彼等は爆撃完了後にレーダー網に突入して貴官達の援護に当たる」
「了解」
HMDを使用して敵のレーダー範囲を確認して低空飛行を継続していく。レーダー範囲は低空になればなるほど発見される可能性が低くなり、その分だけ隙間も広がって行っている。
しかし爆撃機がレーダーを回避しながら低空飛行をすることはかなりの技術が必要とされており、鈍足な従来の爆撃機ならば簡単に発見されてしまう。
だがF-14と同じ構造を持つ可変翼超音速戦略爆撃機だから出来る芸当であり、これができるのは他にルーチェ空軍の同コンセプトであるTu-160ブラックジャックだけである。
渓谷内を高速かつ低高度という戦闘機顔負けの機動でレーダーを回避し、やがてルーチェ軍の早期警戒レーダーを突破し、ギガントの目の前に目標の石油精製施設が広がった。
「IP到達。地上攻撃レーダー作動」
「了解だ中尉」
「機長、地上に動きがあります。我々に気付いたようです」
「関係ないわ。纏めて吹き飛ばしてやるわよ」
「はははっ、最もな意見ですね中尉」
「きっと馬鹿みたいによく燃えますよ」
流石に気付かれたようであり地上から空に向かって撃ちあげて来ているが手遅れだ。爆弾槽のハッチを開き、AN/AAQ-33を起動させて爆撃態勢を整えた。
「目標捕捉。トリプルA!!」
「さっ‼︎お料理の時間だ‼︎」
目標である常圧蒸留装置を中心に減圧蒸留装置、流動接触分解装置、水素化分解装置、熱分解装置などの重要施設に合計84発ものMk-82AIR膨張遅延性 無誘導爆弾が投下され、地上から爆発が次々と発生。
それが引き金となって二次爆発を引き起こして生き残った施設も破壊していった。
「こちらギガント。目標の破壊完了。地上で二次爆発が発生しているわ」
「了解した。長距離レーダーにて敵迎撃機がスクランブルしたようだ。到達する前に護衛機と合流して帰還せよ」
「了解したわ。さっさと荷物を纏めて帰るとするわ」
すぐにB-1Bを旋回して来た道を逆に高度を上げて一気に離脱する。その際に大量のフレアを射出して地上のSA-6からの攻撃を回避。
その後ラウンズ隊とウォーウルフ隊と合流して護衛を受けながら基地に帰還。反撃の狼煙をあげることに成功した………。
デブリーフィング
石油精製施設を失ったことで無敵艦隊は足止めを食らうことになったようだ。これで無敵艦隊を沈める足掛かりは出来た。
機体の整備は何時も以上に万全にしておけよ。
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