M03:空中回廊を叩け
ブリーフィング
国連軍司令部より依頼があった。お前達の活躍と各国空軍の働きでルーチェ空軍の補給網が綻びつつある。
クライアントは近いうちに始まる反攻作戦に備えて補給網にダメージを与える‘‘クレイジーマスタング作戦”を発動させ、我々アヴァロン社にも空中回廊への攻撃を依頼された。
国連軍からの依頼ということで向こう側からもエリート部隊‘‘グリフィス”が参加する。
腕はいいらしいが気に食わない連中だ。考慮にいれてラウンズ隊は全機出撃。目標の輸送機部隊を叩き潰して来い。
2009年6月30日 記録
国連軍からの依頼が舞い込んで来た。ルーチェ軍は勢いにより領土を拡大していたが急激な戦線拡大に対処が追い付けず補給不足に悩まされている。
そこで国連軍は来るべき大反抗作戦に備えてアヴァロン社にルーチェ空軍の空中回廊強襲を依頼。
しかも今回は国連軍特殊飛行隊‘‘グリフィス”という噂のエリート部隊も加わるらしい。
下手なミスは見せられないとのことでアヴァロン社はラウンズ隊を総動員することにした。
ランスロットを先頭にガウェイン、パーシヴァル、ガラハッド、トリスタン、モルドレッドというラウンズ隊F/A-18Eスーパーホーネット6機で出撃する。
エリート部隊には負けられないということだ。
「こちらラウンズ隊。準備完了だ」
「テーブル隊よりマーリン。いつでも攻撃可能だ」
「こちらE-10空中管制機マーリン。これより作戦を開始する。目標の敵輸送機部隊はIl-76キャンディッド輸送機6機を中心に護衛機のMiG-29フルクラムとSu-27フランカーの編隊を確認した。ラウンズ隊は輸送機撃墜を優先し、可能であれば護衛機も撃墜せよ」
「こちらランスロット了解だ」
「ラウンズ隊に報告。貴隊の後方より高速接近する編隊。IFFは味方だ」
ランスロットがレーダーを見る。確かに接近してくる編隊があるが、それも‘‘真っ直ぐ”だ。
「くそっ⁉︎全機避けろ‼︎」
<邪魔だ>
ラウンズ隊が急いで回避すると4機の編隊がアフターバーナーを使用しながら急速で敵輸送機部隊へと向かう。
その機体はEMDカラーを濃くして主翼の両端を茶色に塗装していて尾翼にグリフィンが描かれたF-15S/MTDの4機だ。
<こちらPMCアヴァロン所属の管制機マーリン。所属と官制名を明らかにせよ>
<こちらは国連軍特殊飛行隊‘‘グリフィス”隊のセイバー。空賊連中がここでなにをしている?>
「空賊だと?」
<お膳立てのつもりだろうが結構だ。とっとと引き取ってくれ>
「こちらラウンズ隊所属のモルドレッドだ。誰が空賊だってんだ?」
「相手にするなモルドレッド……こちらはラウンズ隊1番機のランスロット。こちらは国連軍の要請で輸送機撃墜を依頼されている」
<ゴロツキ連中が落ちるのは勝手だが俺達の邪魔だけはするなよ強盗騎士>
「なんだと⁉︎もう一回いってみろ‼︎」
「こちらマーリン。喧嘩は作戦が終わってからにしろ。敵輸送機部隊接近中。ラウンズ隊とグリフィス隊は直ちに撃墜に向かえ」
<セイバーからグリフィス隊。邪魔な連中がいるが仕事に入るぞ>
<こちらカットラス了解>
「いちいちムカつく野郎だぜ……」
「本当ね……トリスタンよりランスロット。このまま馬鹿にされっぱなしは我慢ならないわ」
「分かってる。ラウンズ隊は散開して敵輸送機部隊を撃墜する。グリフィス隊に遅れを取るなよ」
「了解‼︎トリスタン エンゲージ‼︎」
「ガヴェイン エンゲージ‼︎」
「モルドレッド エンゲージ‼︎」
「パーシヴァル エンゲージ」
「よっしゃ‼︎ガラハット エンゲージ‼︎」
グリフィス隊を見返す為にラウンズ隊も散開して敵輸送機に襲いかかる。護衛機のフランカーも旋回してラウンズ隊の迎撃に向かうが、ランスロットはスロットルを絞り込んで敵の後方に回り込んでロックオンする。
だがミサイル発射ボタンを押そうとした直前にフランカーが爆発して、スーパーイーグルが飛来していった。
<悪いな>
「………セイバーの敵機撃墜を確認」
気にしてはならないと判断したランスロットは近くを飛行していたフルクラムに照準を合わせて機銃にて撃破する。
ガヴェイン達も敵機を撃墜していくがグリフィス隊が先に手柄を横取りしていくので思うようにいかない状態だ。
敵はそんな状態になす術なく次々と撃墜されていき、やがて5機目のキャンデッドが撃墜された。
<こちらグリフィス3。敵機撃墜>
「こちらマーリン。5機目の撃墜を確認。残り1機だ」
「見つけた。低高度を飛行してやがる」
最後のキャンデッドは攻撃を避ける為か低高度を進んでおり、作戦空域を離脱しようとしていた。
「こちらランスロット。トドメをやる。目標ロック。FOX3!!」
目標に向かって搭載していたAIM-120を射出。目標へと飛翔していくがここで信じられないことが起きた。
いきなりミサイルと敵機の間にセイバー機が割り込んで来てフレアを射出したのだ。AIM-120はフレアにより欺瞞されて変な方角に飛来していった。
「なっ⁉︎」
<ターゲットロックオン。FOX2>
そしてセイバー機は何事もなかったかのようにサイドワインダーを射出して残りのキャンデッドを撃墜した。
「マーリンからランスロット。敵機の撃墜を確認したがなにがあった?」
<敵がフレアを射出してミサイルが避けられたようだ>
「………‘‘かわされた”直後にセイバー機がジャックにて撃墜した」
「…………了解だ。国連軍に任務完了を報告する。全機帰還せよ」
何かを悟ったマーリンは無線を終了させる。
<邪魔な奴等のせいで時間が掛かったが帰還するぞ。じゃあな空賊>
「………ランスロットからセイバー」
<なんだ空賊?>
「その性格はいずれ必ず災いになるぞ。覚えておくことだ」
<ふん>
軽く忠告するとセイバーは自身の基地に向かって飛行し、ランスロット達も自分達の駐屯する基地へと向かうのであった……………。
デブリーフィング
空中回廊の封鎖は完了した。これでここの回廊は敵も使用できないだろう。
また、ランスロットの報告にあったグリフィス隊のジャック行為と危険飛行には抗議したが、向こうは報酬増額だけで跳ね返して来た。
本当にこれだからエリート面した連中は嫌いだ。
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