M01:爆撃阻止作戦
緊急出撃要請だ。
現在わがアヴァロン社が駐留しているヤーハン空軍基地に大規模な爆撃機編隊の接近を確認。
ルーチェ軍はヤーハンも一気に植民地にすると判断でき、最終防衛ラインが突破されればヤーハンは奴等の物になる。
ラウンズ隊はヤーハン空軍の第502航空部隊と共に出撃し、全ての爆撃機を防衛ライン到達前に撃墜せよ。
2009年6月5日記録
半年前に開戦されたルーチェ連邦による侵攻は瞬く間に東側諸国を占領下におき、各地で戦火が瞬く間に広がった。
ユーリア大陸の最東端に位置する経済推進国‘‘ヤーハン”もその戦火に晒され、ルーチェ空軍は一気に占領する為に大規模爆撃機編隊を出撃。ヤーハン国防空軍も全力で迎え撃つ為にスクランブル発進。その中に一つの‘‘黒騎士”の姿もあった。
「いい天気だ。波も穏やかだし水泳には最高だろうな?」
「全くだ」
スクランブル発進したヤーハン国防空軍の主力戦闘機であるF-4EJファントムⅡとF-15Jイーグルに混じる剣を掲げた騎士と6つの星のエンブレムを描いた2機のF/A-18Eスーパーホーネット。
<こちら空中管制機サウザンドアイ。防空任務に出撃した各機に通達。方位2-7-3よりルーチェ空軍の爆撃機編隊が接近中。数は12で護衛機も確認>
「了解した」
<サウザンドアイからPMC機。所属とコールサインを報告せよ>
「こちらPMC‘‘アヴァロン社”所属のラウンズ隊。コールサインはランスロット」
「同じくコールサインはガヴェイン」
<確認した>
<こちら第502航空部隊。噂に聞く空飛ぶ騎士団だな?頼りにしているぞ>
「任せてくれ………こちらのレーダーにも捕捉。方位2-7-3よりヤーハン諸島に接近中の敵編隊を確認した」
<各機、警戒していけ>
「報酬の分はしっかり働かせてもらうぜ」
<互いが無事ならな>
無線で言い合いながらスーパーホーネットは指定された方位に機首を向け、アフターバーナーを点火させて敵機に接近し、数分後には小さいが視界にて確認できる距離にまで接近した。
「こちらランスロット。敵機を捕捉。機種から判断してツボレフTu-95ベア及びミコヤンMiG-29フルクラムと判断。旧式のMiG-21フィッシュベッドも混じっていやがる」
<了解した。サウザンドアイから全機。攻撃を許可する。侵略者連中に海水を飲ませてやれ>
「了解した。ランスロット交戦」
「了解。ガヴェイン交戦」
攻撃速度に上げるスーパーホーネット。それに気が付いた敵戦闘機もこちらに機首を向け、速度を上げて急速接近してきた。迎撃にでる点では合格だが動きが単調すぎる。
「ガヴェイン、敵が向かって来ているがあまり腕はよくないみたいだ」
「確かにな……ふらつきが見えやがる」
「サッチ&ウェーブでいくぞ。ミサイルは温存して機関砲で仕留める」
「了解だ。エサ役は任せろ。だけどしっかり落としてくれよ」
「任せろ」
ランスロットとガヴェインは互いに距離をとって飛行を始める。
サッチ&ウェーブとは非常にシンプルな戦術で、敵に背後を取らせてSの字型に飛行。
僚機は逆Sの字型に飛行し敵機と交差。敵機と交差する際に僚機が敵機に対して銃撃を浴びせるというものである。
無線技術の発達により生まれた戦術でミサイル主体の現代では先手必勝になるが、アヴァロン社では充分に機関砲での戦闘にて高い戦果を発揮できる。
ガヴェインの機体が敢えて隙を見せると敵のフィッシュベッド2機とフルクラム1機は面白いように食いついてくれた。
ガヴェインがS字で飛行するのに対してランスロットは逆S字にて飛行し、ガヴェインを追撃する3機を射程内に捉えると僅かに機体を操作してM61A1より20mm徹甲焼夷弾が射出され、放たれた焼夷弾は前にいたフィッシュベッドとフルクラムに命中し、主翼をもぎ取られた機体は回転しながら海へ突っ込んで派手な水柱を聳え立たせた。
「敵機を撃墜」
「いい腕だ相変わらず。次は俺だな‼︎」
ランスロットの敵機撃墜を確認したガヴェインも機体の速度を微調整しながら派手に機体を上昇と下降を繰り返し、後方に食らいついた敵のフィッシュベッドに目標超過させ、逆に目標の隙だらけな背後を取った。
「そらよ‼︎」
ガヴェイン機のM61A1より発砲炎が発生し、焼夷弾がトゥマーンスキイ R-11F-300 ターボジェットへ吸い込まれるように命中していき、やがてエンジンより爆発して機体が木っ端微塵となる。
「こちらガヴェイン‼︎敵を撃墜した‼︎」
<いいぞ‼︎>
「こちらランスロット。これより年寄り熊に槍を突き刺してやる」
「ガヴェイン了解。スラマー発射用意」
3機を撃墜したランスロットとガヴェインは合流し、ヤーハンへと向かうTu-95にレーザー照射を実行し、主翼のハードポイントに搭載されているAIM-120B AMRAAM中距離空対空ミサイルに情報を送り込む。
通常ならチャフやフレアで欺瞞されて回避されているがそれらを搭載していないベアに対しては問題はない。
「目標捕捉‼︎FOX3‼︎発射‼︎」
「FOX3‼︎FOX3‼︎」
合計で8発ものAIM-120BがTu-95にマッハ4で向かっていき、数秒後には機体の後方に命中。8機のTu-95が炎をあげながら海上へ墜落していった。
「全弾命中確認。ベアが8機墜落した」
「よし、このまま残りを始末する」
「同感だ」
<第502航空部隊よりランスロット‼︎残りは任せてくれ‼︎FOX3‼︎>
少し離れた場所を飛行している第502航空部隊のF-35JCよりAIM-120C-7が射出され、残りのTu-95が撃墜された。
爆撃機が全て落とされたことで護衛機のMig-29とMiG-21は撤退していくのが確認された。
<全ての爆撃機の撃墜を確認。作戦終了だ。全機帰還せよ>
<第502航空部隊よりラウンズ隊。貴隊の協力に感謝する。帰還したら一杯奢らせてくれ>
「そりゃ楽しみだ。逃げ帰った奴等が上に戦果報告する姿を予想するってのが肴だな」
「それはいいな。とっとと帰るぞ」
機首を基地に向けて飛行するF/A-18E。やがて基地に近付くと車輪を出して華麗に滑走路へとタッチダウンし、帰還を果たした……………。
よくやった。
敵は全てのTu-95を撃墜されたことで撤退し、エクライクスフ空軍基地へ退却した。恐らく直ぐに出撃するだろう。
補給と整備は念入りにしておけ。くれぐれも飲み過ぎるなよ。
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