慣れないポジションへの向き合い方が活躍を呼び込んだ。「おれはストライカーじゃないし、ストライカー的なことをやってもあかんなと。できることをやろう、相手が嫌がることをしようと思っていた」。プレースタイルを崩さないのは本田の真骨頂。実際、前線でのポストプレーより、少し下がった位置からの突破を心がけ、カメルーン守備陣を翻弄(ほんろう)。ついには「(クロスが)来たらいいなというつもりで動き出した」と、鋭い読みで少ない好機を生かし切った。
普段は実に冗舌な本田だが、この日も「あまりしゃべりたくない」とコメントは最小限にとどめた。それこそが欧州チャンピオンズリーグを戦う中で発見した集中方法で、試合前日となればチームメートとも話をしない。集中を切らさないよう、神経を使うのも、次戦を見据えるからこそ。「オランダはこんなに甘くはいかない。いいスタートが切れたけど、大事なのはここから」。同国のVVVフェンロで得点感覚を磨き上げた24歳は、E組最大の難関撃破へ、いっそう気持ちを高ぶらせた。