グーグルグラスは、医療を変えるのか
東洋経済オンライン 8月18日(月)8時0分配信
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デューク大学でグーグルグラスを着用した手術を披露するパレク博士 |
グーグルグラスを外科手術の現場で活用する実験が、米国の多くの大学で行われている。オハイオ州立大学、スタンフォード大学、デューク大学などでは附属病院において、ベテランの医者が手術する様子を記録。それを研修医が見て、勉強をするシーンが当たり前になってきた。米国だけでなく、英国や日本などでも実験的な取り組みが始まっている。
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そのうちの1人が、デューク大学の整形外科医であるシレン.・パレク博士だ。
パレク博士は、ウェアラブル・テクノロジーの大きな可能性について確信している。2013年10月、グーグルグラスを入手した彼は、手術室で少し使ってみた。最初はその程度。しかし、2014年1月にインドを訪問してウェアラブルが医療に有用だと認識したという。
■ インドから手術を中継
本格的に使い始めたキッカケは、このインド訪問からだった。パレク博士はインドで記者会見を開いた際、たまたまグーグルグラスを手元に置いていた。それを目にした報道陣からは「いったい、どうやって使うのかを見せてほしい」との声が。
そこでパレク教授は手術を世界中にライブ中継することを思い立った。インドから世界中にライブストリーミングをしたところ1万5000〜2万人がインターネット経由で視聴。この体験から、グーグルグラスは単なるガジェットではなく真のツールだと気づいた。「ネットを使った技術は医療を大きく変えるに違いない」と。
手術をする医者はグーグルグラスを経由し、自分自身の視界の右上にさまざまなデータを映し出すことができる。CTスキャン、MRI、X線の結果や患者のカルテなど、だ。手術の手を休めることなく、必要なデータを即座に、簡単に目の前に取り出せる。
■ 遠隔地にいる専門医も手術に参加
もし手術の最中になんらかの問題が生じても、慌てる必要はない。遠隔地にいる専門医に協力してもらえばいい。手術の場にはいない専門医も、グーグルグラスのカメラからストリーミング中継されている現場の様子を、目の前の大型スクリーンに映し出すことができる。
こうすれば、離れていても手術に参加できるわけだ。スクリーンをみながらオフィスのパッドの上で手を動かすと、その手の動きがグラスに映しだされる。その指示に従ってメスを使えばいい。
5年、10年後にはだれもがウェアラブル・テクノロジーを使っているだろう。今、次の1世紀の医療が、根底から大きく変わり始めているのだ。
Bloomberg News
最終更新:8月19日(火)0時35分
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