2014年08月17日 15時00分00秒
"Perfumeだけが持つ価値" を作りたい・・・
テーマ:Perfumeと中田ヤスタカ研究
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波は乗るものではなく、"起こす" もの
森下一喜(ガンホー・オンライン・エンターテイメント社長)
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さて昨日、 "『彼は本当に特別なので、勝手にやらせておいて全く問題無いんです・・・』by中脇雅裕" のエントリーの追記を書いていて、ちょっと思い出したことがあったので、PerfumeのA&R(Artist and Repertoire)を担当していた中脇雅裕氏のインタビュー記事で別エントリーを書きたいと思った。
まず、その思い出した事柄のキッカケになった中脇氏のインタビュー内容はこの部分だ。
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「中脇 : 何のために音楽をやるのかを確認しておくこことが重要だと思っています。"売れたい" ということと "自分の好きな音楽を作りたい" ということは、実は全く別モノですよね。」
「中脇 : "自分が良いと思うものを作れば売れる" という発想は大抵うまくいかない。うまくいったとしてもそれは意識してヒットしたということではなくて、偶然の場合が多いですね。」
「中脇 : 例えば、中田君は良いものを作るのはもちろんですが、そこに世の中の動きを見据えた要素も盛り込んでくる。ともかく自然発生的だけのモノは売れない。物事には原因と結果がある。だから売るためのアクションを起こして仕掛ければ、良いことでも悪いことでもちゃんと反応が来るんです。」
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この中脇氏の言葉から中田ヤスタカ氏が過去のインタビューで語った "ある言葉" が思い浮かんだ。この内容は個人的にPerfumeの成功を導いたキーワードだと考えている。
これだ。
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「ライター : 発注が来て受注したような、いわゆる資本主義然とした関係で成立してると思うんだけど。でもだからこそ、そこにおもしろい感じが生まれてくるのがPerfumeだと思ってるわけですよ。」
「中田 : そこは俺が頑固だからってところがあります。言われてることに応えてないですもん。」
「ライター : あはははは! (笑)」
「中田 : でも、それがちゃんと発売されているから。だからおもしろいんだと思います。それはね、『この子たちはアイドルだからアイドルソング作ろう』みたいなおざなりな感じで、アイドル風にやっても『誰が聴くの?』ってやっぱり思ったんですよ。漠然とした "アイドル" ってものに対して曲を提供しても意味ないと思ったんです。」
『capsule Archive』・「ポップアイコン待望論(2007年)」より
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オレがPerfumeに最初に出会った当時(2008年)の感覚は "強い違和感と圧倒的な衝撃" だったと思う。
"アイドルの楽曲が、なぜこんなにもパワーを持って訴えかけてくるのだろう"
"アイドルの楽曲がなぜこれほど丁寧に作られているのか"
要するに、この後の内容でも『MARQUUE』のライターも語っているのだが "ギャップの美学" といったようなものが作用し、人々の心を捉えていったのだと思う。
しかしこれはPerfume側が想定していた現象ではないことが伺える。要するにそもそものPerfumeのプロジェクトの起点は "アイドルにテクノ風の楽曲でパフォーマンスさせれば面白そう" といった発想からだということが考えられる。したがってクライアントのアミューズ側は、
"テクノっぽい歌謡曲を作って欲しい"
というのがその依頼の内容だったように考えられる。確かにPerfumeが出現してくる以前のアイドル達が用いていた楽曲の多くは "アイドル本人達をかわいく、ステキに見せるための機能" に特化されていて、何かを訴えかける要素や楽曲の質の高さは皆無のようにオレには感じられた。
実際にアイドルファンの方々の中には "楽曲の善し悪しや質の高さなんて二の次だ。彼女達がかわいく、ステキに見える楽曲なら何でも良い" という意見を持っている方々も少なくないと思う。要するに "ダサい楽曲のほうが彼女達が引き立ち、かわいく見える" といった感じだろうか。
おそらくPerfumeのプロジェクトの当初の目論みも、そのようなアイドルの既存のテンプレートに則ったものをアミューズ側は想定しており、それに基づいた発注を中田氏側にしてきたこともインタビューから伺えると思う。
しかしだ。インタビューの内容からもわかるように中田氏はクライアントの意向には "あえて" 応えなかったことが伺える(苦笑)。その理由を中田氏が引き続き語っている。
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「中田 : そうじゃなく『Perfumeだけの持つ価値を作ろうよ』って思ったんですね。・・・ 省略・・・ 少なくとも僕が曲を提供するチャンスがあった以上、Perfumeに対して自分なりにできることをこだわってしただけです。アイドルだからって手を抜くことはしたくなかった。音楽は音楽として引き受ける以上は、それが僕の役目だと思ったし。」
「中田 : で、『アイドルがアーティスティックである必要がない』っていう考えは持っていないんですよ、俺としては(笑)。まぁ、守るものがあんまりなかったから、戦ってこれたんですけどね。今、振り返っても、こだわってよかったと思って(笑)。」
『capsule Archive』・「ポップアイコン待望論(2007年)」より
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"Perfumeだけの持つ価値・・・・・"
黒髪の保守的なイメージと雰囲気の彼女達に、本格的で質の高い、しかも時代の先端を行くような要素が入った楽曲を与える・・・・・
どれだけの "強い違和感" を世の中に与え、強い印象を与えたのか。当時を思い出しても計り知れない。そして音楽愛好家にも "圧倒的な衝撃" を与えたことは間違いない。
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「中田 : 『エレクトロ・ワールド』は、たぶんアーティスティックにやりたい人たちでもまだ出来てないようなアレンジを、アイドルであるPerfumeがやってしまった曲だと思います。アイドルらしからぬ本格的な曲を、普通のJ-POPのアーティストがやる前にやっちゃったという。 」
「中田 : 曲の構造もサビまで長いし、ミックスにしてもベースの音がでかく鳴っている。普通は声が聴こえにくいから下げるんだけど、そういうところを振り切っている感はある。」
Quick Japan vol.74 より
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それは中田氏が語った「アイドルだからって手を抜くことはしたくなかった」という強い志と、Perfumeの持つ保守的な要素がせめぎあい、葛藤し、それがファンである我々に伝わってくることで深い感動が生まれる。
そしてそれはいつしか一種の化学反応のようなものとなって『Perfumeだけの持つ価値』に醸成されていったように思うのだ。
さて中脇氏が語った「世の中の動きを見据えた要素も盛り込んでくる」ということも過去のインタビューで中田氏も少しだけ触れている。
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「ライター : うん、結果が出たわけだよ。『ポリリズム』もオリコンチャート初登場3位だったわけだし。Perfumeには大きなヒントがあると思う。これからのアイドルについて。明らかにギャップの美学が働いている。それにしてもよくゴリ押しできたね(笑)。」
「中田 : 自分では『これをやったほうが世の中にも当然おもしろいはず』って確信があったから。『これは俺が好きだからやっているんだ』じゃなくて。そういうことは伝えようと努力しました。で、ちゃんとわかってくれたんですね。作曲家は、そういう分かってもらう作業をやるべきだと思う。」
『capsule Archive』・「ポップアイコン待望論(2007年)」より
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Perfumeファンの方でも、中には中田氏のことを快く思っていない人もいるかとは思う(苦笑)。要するに「好き勝手やりやがって・・・・ そのような雰囲気の楽曲をなにもPerfumeに提供しなくても良いんじゃないか??」といったようなことをお思いになっている方も少なくないように思う。
しかし・・・・ そんなことを言っていたらいつまで経っても『エレクトロ・ワールド』は生まれなかったし、『ポリリズム』のインタールード部はカットされて発売されたことだろう。今では人気の高い『edge』もリリース当時の2008年ではファンの間でも賛否両論だったし(苦笑)。
さてアートとして捉えた場合には "現時点の世の中のリアルを楽曲に込める" のではなく、"将来の価値観に対するビジョンを楽曲に込める" ということのほうが将来への発展性があると思う。しかし現代の日本の音楽プロデューサーの多くは "現時点の世の中のリアル" を楽曲に込めることに必死だ。しかしそのような楽曲は陳腐であったり、賞味期限は短いようにオレには感じられる。
そういう意味では中田氏は "将来の価値観に対するビジョン" を楽曲に込められる稀有な音楽プロデューサーだとオレは信じて疑わない。
さてこれまでのPerfumeの成功は中田氏だけの功績だとは、決してオレは考えていない。中田氏もこのように語っている。
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「ライター : 今年に入って(2007年)、中田くんが急上昇しているなって思うのは、イメージの一人歩きが起こってることなんですよ。つまり勘違いが起こっている。でもそれくらいでいいと思うんですよ。アーティストの意思が伝わるのは核心の部分だけでよくて、全体としては話題になっているくらいでいいというか。」
「中田 : 今、すごい思うんですよね。何でも色々あるじゃないですか。それが原宿なのか秋葉原なのかわからないですけど、取り上げられている回数が増えてくると薄くなるっていうか。だから、すっごい強烈っていうものがやっぱり欲しくて。」
「中田 : 例えば、Perfumeに関しては保守的なつもりで始まったプロジェクトだと思うんですよ。アイドルをやろうっていう。僕としては、そうしたくなくて、やった結果、それを面白がる人が出てきたのが面白いなと思っているんです。」
「中田 : それを聴いているリスナー自身にパワーがあると面白いんですよね。なんとなくっていうのが一番つまらない。」
『capsule Archive』より
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これまでのPerfumeの成功を支えてきたのは、新しい要素や挑戦を否定せず、むしろ面白いと評価してきたファンやリスナー、オーディエンスのおかげだと感じている。
そして中田氏も語っているように、これまでのファンやリスナー、オーディエンスが能動的、積極的、そしてパワフルに楽しもうとした結果が現在のPerfumeの成功と勢いを生んできたように思う。
" 既存のファンが未来のPerfumeを育て、既存のファンが新しいファンを生み出す源となる・・・・"
新しい要素や挑戦を解釈し、良いものであればそれを肯定し、能動的、積極的にPerfumeを楽しむ・・・・
そのようなエントリーを今後も提供し続けたいと心を新たにした、今日この頃だ。
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波は乗るものではなく、"起こす" もの
森下一喜(ガンホー・オンライン・エンターテイメント社長)
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さて昨日、 "『彼は本当に特別なので、勝手にやらせておいて全く問題無いんです・・・』by中脇雅裕" のエントリーの追記を書いていて、ちょっと思い出したことがあったので、PerfumeのA&R(Artist and Repertoire)を担当していた中脇雅裕氏のインタビュー記事で別エントリーを書きたいと思った。
まず、その思い出した事柄のキッカケになった中脇氏のインタビュー内容はこの部分だ。
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「中脇 : 何のために音楽をやるのかを確認しておくこことが重要だと思っています。"売れたい" ということと "自分の好きな音楽を作りたい" ということは、実は全く別モノですよね。」
「中脇 : "自分が良いと思うものを作れば売れる" という発想は大抵うまくいかない。うまくいったとしてもそれは意識してヒットしたということではなくて、偶然の場合が多いですね。」
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「中脇 : 例えば、中田君は良いものを作るのはもちろんですが、そこに世の中の動きを見据えた要素も盛り込んでくる。ともかく自然発生的だけのモノは売れない。物事には原因と結果がある。だから売るためのアクションを起こして仕掛ければ、良いことでも悪いことでもちゃんと反応が来るんです。」
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この中脇氏の言葉から中田ヤスタカ氏が過去のインタビューで語った "ある言葉" が思い浮かんだ。この内容は個人的にPerfumeの成功を導いたキーワードだと考えている。
これだ。
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「ライター : 発注が来て受注したような、いわゆる資本主義然とした関係で成立してると思うんだけど。でもだからこそ、そこにおもしろい感じが生まれてくるのがPerfumeだと思ってるわけですよ。」
「中田 : そこは俺が頑固だからってところがあります。言われてることに応えてないですもん。」
「ライター : あはははは! (笑)」
「中田 : でも、それがちゃんと発売されているから。だからおもしろいんだと思います。それはね、『この子たちはアイドルだからアイドルソング作ろう』みたいなおざなりな感じで、アイドル風にやっても『誰が聴くの?』ってやっぱり思ったんですよ。漠然とした "アイドル" ってものに対して曲を提供しても意味ないと思ったんです。」
『capsule Archive』・「ポップアイコン待望論(2007年)」より
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オレがPerfumeに最初に出会った当時(2008年)の感覚は "強い違和感と圧倒的な衝撃" だったと思う。
"アイドルの楽曲が、なぜこんなにもパワーを持って訴えかけてくるのだろう"
"アイドルの楽曲がなぜこれほど丁寧に作られているのか"
要するに、この後の内容でも『MARQUUE』のライターも語っているのだが "ギャップの美学" といったようなものが作用し、人々の心を捉えていったのだと思う。
しかしこれはPerfume側が想定していた現象ではないことが伺える。要するにそもそものPerfumeのプロジェクトの起点は "アイドルにテクノ風の楽曲でパフォーマンスさせれば面白そう" といった発想からだということが考えられる。したがってクライアントのアミューズ側は、
"テクノっぽい歌謡曲を作って欲しい"
というのがその依頼の内容だったように考えられる。確かにPerfumeが出現してくる以前のアイドル達が用いていた楽曲の多くは "アイドル本人達をかわいく、ステキに見せるための機能" に特化されていて、何かを訴えかける要素や楽曲の質の高さは皆無のようにオレには感じられた。
実際にアイドルファンの方々の中には "楽曲の善し悪しや質の高さなんて二の次だ。彼女達がかわいく、ステキに見える楽曲なら何でも良い" という意見を持っている方々も少なくないと思う。要するに "ダサい楽曲のほうが彼女達が引き立ち、かわいく見える" といった感じだろうか。
おそらくPerfumeのプロジェクトの当初の目論みも、そのようなアイドルの既存のテンプレートに則ったものをアミューズ側は想定しており、それに基づいた発注を中田氏側にしてきたこともインタビューから伺えると思う。
しかしだ。インタビューの内容からもわかるように中田氏はクライアントの意向には "あえて" 応えなかったことが伺える(苦笑)。その理由を中田氏が引き続き語っている。
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「中田 : そうじゃなく『Perfumeだけの持つ価値を作ろうよ』って思ったんですね。・・・ 省略・・・ 少なくとも僕が曲を提供するチャンスがあった以上、Perfumeに対して自分なりにできることをこだわってしただけです。アイドルだからって手を抜くことはしたくなかった。音楽は音楽として引き受ける以上は、それが僕の役目だと思ったし。」
「中田 : で、『アイドルがアーティスティックである必要がない』っていう考えは持っていないんですよ、俺としては(笑)。まぁ、守るものがあんまりなかったから、戦ってこれたんですけどね。今、振り返っても、こだわってよかったと思って(笑)。」
『capsule Archive』・「ポップアイコン待望論(2007年)」より
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"Perfumeだけの持つ価値・・・・・"
黒髪の保守的なイメージと雰囲気の彼女達に、本格的で質の高い、しかも時代の先端を行くような要素が入った楽曲を与える・・・・・
どれだけの "強い違和感" を世の中に与え、強い印象を与えたのか。当時を思い出しても計り知れない。そして音楽愛好家にも "圧倒的な衝撃" を与えたことは間違いない。
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「中田 : 『エレクトロ・ワールド』は、たぶんアーティスティックにやりたい人たちでもまだ出来てないようなアレンジを、アイドルであるPerfumeがやってしまった曲だと思います。アイドルらしからぬ本格的な曲を、普通のJ-POPのアーティストがやる前にやっちゃったという。 」
「中田 : 曲の構造もサビまで長いし、ミックスにしてもベースの音がでかく鳴っている。普通は声が聴こえにくいから下げるんだけど、そういうところを振り切っている感はある。」
Quick Japan vol.74 より
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それは中田氏が語った「アイドルだからって手を抜くことはしたくなかった」という強い志と、Perfumeの持つ保守的な要素がせめぎあい、葛藤し、それがファンである我々に伝わってくることで深い感動が生まれる。
そしてそれはいつしか一種の化学反応のようなものとなって『Perfumeだけの持つ価値』に醸成されていったように思うのだ。
さて中脇氏が語った「世の中の動きを見据えた要素も盛り込んでくる」ということも過去のインタビューで中田氏も少しだけ触れている。
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「ライター : うん、結果が出たわけだよ。『ポリリズム』もオリコンチャート初登場3位だったわけだし。Perfumeには大きなヒントがあると思う。これからのアイドルについて。明らかにギャップの美学が働いている。それにしてもよくゴリ押しできたね(笑)。」
「中田 : 自分では『これをやったほうが世の中にも当然おもしろいはず』って確信があったから。『これは俺が好きだからやっているんだ』じゃなくて。そういうことは伝えようと努力しました。で、ちゃんとわかってくれたんですね。作曲家は、そういう分かってもらう作業をやるべきだと思う。」
『capsule Archive』・「ポップアイコン待望論(2007年)」より
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Perfumeファンの方でも、中には中田氏のことを快く思っていない人もいるかとは思う(苦笑)。要するに「好き勝手やりやがって・・・・ そのような雰囲気の楽曲をなにもPerfumeに提供しなくても良いんじゃないか??」といったようなことをお思いになっている方も少なくないように思う。
しかし・・・・ そんなことを言っていたらいつまで経っても『エレクトロ・ワールド』は生まれなかったし、『ポリリズム』のインタールード部はカットされて発売されたことだろう。今では人気の高い『edge』もリリース当時の2008年ではファンの間でも賛否両論だったし(苦笑)。
さてアートとして捉えた場合には "現時点の世の中のリアルを楽曲に込める" のではなく、"将来の価値観に対するビジョンを楽曲に込める" ということのほうが将来への発展性があると思う。しかし現代の日本の音楽プロデューサーの多くは "現時点の世の中のリアル" を楽曲に込めることに必死だ。しかしそのような楽曲は陳腐であったり、賞味期限は短いようにオレには感じられる。
そういう意味では中田氏は "将来の価値観に対するビジョン" を楽曲に込められる稀有な音楽プロデューサーだとオレは信じて疑わない。
さてこれまでのPerfumeの成功は中田氏だけの功績だとは、決してオレは考えていない。中田氏もこのように語っている。
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「ライター : 今年に入って(2007年)、中田くんが急上昇しているなって思うのは、イメージの一人歩きが起こってることなんですよ。つまり勘違いが起こっている。でもそれくらいでいいと思うんですよ。アーティストの意思が伝わるのは核心の部分だけでよくて、全体としては話題になっているくらいでいいというか。」
「中田 : 今、すごい思うんですよね。何でも色々あるじゃないですか。それが原宿なのか秋葉原なのかわからないですけど、取り上げられている回数が増えてくると薄くなるっていうか。だから、すっごい強烈っていうものがやっぱり欲しくて。」
「中田 : 例えば、Perfumeに関しては保守的なつもりで始まったプロジェクトだと思うんですよ。アイドルをやろうっていう。僕としては、そうしたくなくて、やった結果、それを面白がる人が出てきたのが面白いなと思っているんです。」
「中田 : それを聴いているリスナー自身にパワーがあると面白いんですよね。なんとなくっていうのが一番つまらない。」
『capsule Archive』より
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これまでのPerfumeの成功を支えてきたのは、新しい要素や挑戦を否定せず、むしろ面白いと評価してきたファンやリスナー、オーディエンスのおかげだと感じている。
そして中田氏も語っているように、これまでのファンやリスナー、オーディエンスが能動的、積極的、そしてパワフルに楽しもうとした結果が現在のPerfumeの成功と勢いを生んできたように思う。
" 既存のファンが未来のPerfumeを育て、既存のファンが新しいファンを生み出す源となる・・・・"
新しい要素や挑戦を解釈し、良いものであればそれを肯定し、能動的、積極的にPerfumeを楽しむ・・・・
そのようなエントリーを今後も提供し続けたいと心を新たにした、今日この頃だ。
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¥972
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