キャリア形成:「28歳」は女性の分岐点 広がる取り組み
毎日新聞 2014年08月18日 09時23分(最終更新 08月18日 12時39分)
結婚・出産後も働き続ける女性が少しずつ増えてきたとはいえ、仕事と家庭の両立は依然、大きな課題だ。一方、女性の採用比率が高まった企業では、いかに職場で女性に活躍してもらうかに頭を悩ませている。そうした企業などの間で今、結婚や出産直前期の「28歳」をターゲットにした、キャリア形成を考える取り組みが広がっている。
リクルートホールディングスで先月、今年度中に28歳になる女性社員を対象にした研修「キャリアカフェ28」が開かれた。28歳を「仕事に慣れ、強みも見えてくる一方で、結婚、出産のライフイベントもリアルに考える時期」とみて、自らのキャリアプランを考えてほしいと企画された。
◇結婚、出産の直前
女性の平均初婚年齢は29.3歳、第1子出産時の母の平均年齢は30.4歳(2013年、厚生労働省調べ)。28歳はこの直前にあたり、今後のキャリアのターニングポイントと受け止められているのだ。
参加した桑原史帆さん(27)は入社6年目。「新人の時と違って得意分野も分かり、自分の輪郭ができてきた。でも、結婚や出産は、仕事と違って自分の意思だけでは決められないので、どう計画したらいいのか。特に出産はタイムリミットがあるので、年齢から逆算しないといけないけれど……」と不安も見せる。
同社では入社後、多くが営業職に配属されるが、出産を機に営業を敬遠して内勤を希望する人や、管理職になりたがらない人も多いという。しかし、女性社員に占めるワーキングマザーの比率は約23%に上り、子どものいる女性の活躍も欠かせない。担当者は「営業職は家庭との両立はできないという思い込みもあるので、先輩女性社員と交流する研修で、誤解を解いていってもらいたい」と話す。
◇「思い込み」で敬遠
飲料大手のキリンホールディングスは今年、27〜35歳の管理職になっていない女性をターゲットに、キャリアを考えてもらう研修を実施した。
同社は21年までに、女性管理職を現在の3倍の300人、管理職の比率で12%まで引き上げる目標を立てている。そこで「女性管理職を増やしたいが、なぜ増えないのか」と聞いたところ、女性社員からは「家族や職場に迷惑をかけそう」「魅力的でない」などの声があった。上司側は「挑戦してもらおうと声をかけても『家庭の事情で』と1度断られると声をかけにくい」などと答え、女性社員への過剰な配慮もみられた。