「選ばれた者にしか投げられないボール」――。それが時速160キロを超す快速球だという。7月のオールスター戦で162キロをたたき出し、3日のソフトバンク戦でも161キロをマークした日本ハムの大谷。魅力たっぷりな20歳の右腕は、まだまだ進化しそうな気配がある。なぜこれほどのスピードボールを投げられるのだろうか。スポーツに関して様々な分析をしているフェアプレイ・データ(東京・中央)の石橋秀幸代表は「スプリンターのような左足の使い方が大谷の快速球を生む一因になっている」と指摘する。
■ライバルも「あれは異次元のボール」
「あれは異次元のボール」。高校時代からのライバル、阪神の藤浪も苦笑いするしかなかったボールを、大谷が投げたのは2球目だった。7月19日、甲子園球場で行われたオールスター第2戦。一回裏のマウンドに立った大谷は、1球目から161キロを出して球場を埋め尽くした大観衆の目をくぎ付けにした。
そして2球目、さらにその上をいく162キロ。2008年に巨人時代のクルーンが出した球宴の最速記録(161キロ)をあっさりと上回った。その球をファウルした阪神・鳥谷もさすがだが、そんな驚愕(きょうがく)のボールを投げても、はにかんだような笑顔を浮かべただけの大谷の姿はファンの印象に残ったに違いない。
球速 | 選手 | 年月 | 球場 |
---|---|---|---|
162 | クルーン(巨人) | 08年6月 | ヤフー |
161 | 大谷(日本ハム) | 14年8月 | 札幌ドーム |
由規(ヤクルト) | 10年8月 | 神宮 | |
160 | 林昌勇(ヤクルト) | 09年5月 | 神宮 |
マシソン(巨人) | 12年7月 | 横浜 |
(注)球速はキロ
球宴で投じた全23球のうち、直球が21球。その半数以上に当たる12球で160キロ以上をマークした。「今日はスピードだけを出しにいった」。いつもは先発として長いイニングを投げることを期待されるが、今回の球宴では1回限定。短いイニングを全力投球でいけば……。大谷の持つポテンシャルを改めて示した球宴だった。
日本球界で160キロ台をマークした投手を振り返ってみると、先発して五回に出したヤクルトの由規を除けば、クルーン、林昌勇(当時ヤクルト)、マシソン(巨人)とすべて救援投手。今回の大谷のように短いイニングを全力で投げたときにマークしたケースが圧倒的に多かった。試合終盤に出すのは難しいという“常識”を打ち破ったのが8月3日、札幌ドームで行われたソフトバンク戦だった。
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