豪雨:「一晩中、恐ろしかった」京都・福知山で浸水
毎日新聞 2014年08月17日 23時33分(最終更新 08月17日 23時49分)
「一晩中、たたきつけるような雨が降った」。停滞する前線の影響で、記録的な豪雨となった西日本。17日朝までの24時間雨量が300ミリを超え、昨年9月の台風18号豪雨以来の浸水被害となった京都府福知山市では、市内中心部を含む広い範囲が浸水。兵庫県丹波市でも、民家が土砂に押しつぶされ、男性が死亡するなど、各地に深刻な被害をもたらした。
昨年9月の台風18号の際、市内を流れる由良川が氾濫した福知山市。今回は川の氾濫こそなかったが、盆地で水がたまりやすい福知山市内に雨が集中。同市和久市では、雨量がポンプ場の処理能力をはるかに超え、排水ポンプ4台が故障するなどした。
同市堀蛇ケ端の会社員の男性(49)は「バンバンとたたきつけるような大きな雨音で、一晩中、恐ろしかった」と振り返る。午前2時半ごろ、寝ていた2階から1階に降りると、既に腰の辺りまで水が迫っており、あわてて2階に戻った。「40年ほど住んでいるが、こんな経験は初めて」
同市末広町のビジネスホテル経営の女性(54)は夜通し、帰宅できなくなった宿泊客らの対応に追われた。今年4月、数百万円をかけて改装した食堂も50センチほど浸水。「冷蔵庫が横倒しになり、買い替えたばかりの業務用食洗機もダメになった」と肩を落とした。
同市内では、午前10時ごろ、飲食店駐車場の軽乗用車内で兵庫県豊岡市の男性店員(24)が意識不明で見つかり、その後死亡が確認された。府警福知山署によると、車は水没した跡があり、車内に逆流した排ガスで一酸化炭素中毒になった可能性があるという。
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無職、志賀輝行さん(79)方の民家が倒壊した兵庫県丹波市市島町徳尾の現場では、木造2階建ての家が土砂や木々で粉々に押しつぶされていた。輝行さんと妻かね子さん(73)が土砂に埋まり、かね子さんは重傷を負って救出され、輝行さんは遺体で見つかった。志賀さんのおい(45)は「お盆には(輝行さんら)7人きょうだいが集まって楽しいひとときを過ごしたのに」と肩を落とした。
石川県内でも犠牲者が出た。県警羽咋(はくい)署などによると、17日午後0時20分ごろ、羽咋市滝谷町の無職、長浜英子さん(74)方の裏手の山の土砂が崩壊。長浜さんは自宅と裏山の間で土砂に埋まり、死亡した。長浜さんは1人暮らしだった。【村田拓也、久野洋、丸井康充、井上卓也、竹田迅岐】