「この国はいつだって庶民が犠牲になる」
8月1日、私は北京東部の12車線の北京最大の目抜き通り建国路(長安街)に面した「報刊亭」(新聞・雑誌スタンド)に来ていた。より正確に言えば、「報刊亭跡」に来ていた。
私は2年前まで北京に住んでいて、毎日山のように新聞やニュース誌を買っていた「報刊亭」だ。この「報刊亭」の安徽省出身のオヤジは、「最大の顧客」(つまり私)に配慮して、私が属する会社が中国語版の版権を扱っている日本の雑誌各誌を、常に最前列に並べてくれ、まるで小社の社員のごとく、販促に力を入れてくれていた。
それがこの日、半年ぶりに訪れてみたら、「報刊亭」は跡形もなく消えていたのだ。隣にあった屋台のハンバーガーショップも消えていた。
私がキョロキョロと辺りを見回すと、遠くで男が手を振って、急いでミニバイクに乗ってやってきた。懐かしい「報刊亭」のオヤジだった。
「新聞と雑誌を買いに来たんだけど、なぜここに『報刊亭』がないの? もしかして引っ越したの?」
私が聞くと、オヤジは大きくため息をついて、語り出した。
「昨晩、陽が暮れたので店を畳もうとしていたら、突然大型トラックが目の前に止まり、そこから大勢の男たちがドドドドッと降りて来た。そして瞬く間に、報刊亭を叩き潰し、置かれていた新聞や雑誌もすべて、トラックに詰めて持っていってしまった」
「それはひどい話だ。すぐに公安(警察)に訴えたの?」
「オレの『職場』を叩き壊したのは公安なんだよ。公安に訴えてどうする」
「ではなぜ公安は、突然そんな蛮行を行ったの?」
「さあね。昨晩、公安の連中に聞いたら、『市政を整頓するためだ』と言っていたが、よく分からない」
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