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地下アイドルでありながら、ライターとしても活躍する姫乃たま。
貴重な休日に呼び出した濱野智史さんに、「姫乃たまはどうしたら売れますかね」と聞くと、寝癖のついた髪を揺らして、えっと驚いてから「ああ、なんで売れないんですかね」と呟きました。そもそも売れる気はあるのかと、小一時間問いただしてやりたくなるような、ぼんやりした地下アイドルの私を前に「考えることは好きなんで大丈夫です」と言って頭を抱えてくれました。
いまはアイドルグループのプロデューサーとして活躍している濱野さんも、数ヶ月前までひとりのアイドルオタクであり、さらに数年前まではアイドル文化にあまり理解のない社会学者でした。「アイドルなんか全然好きじゃなかったですよ。童貞がアイドルの手を握りたいからCD買ってるとか思って、むしろ馬鹿にしてました。音楽チャートも握手会やった順になってるし」
最初にAKB48を好きになった時も、画面越しに眺めるだけで、現場に足を運ぶのは抵抗があったそうです。私も地下アイドルライブに出演するたび、ビギナーの方への敷居の高さを感じます。アイドルにお金をかける自分への気恥かしさなどから、現場に行けない人がたくさんいると濱野さんは言います。
「僕も在宅(現場には足を運ばないファンのこと)の時期に、周りの人間からイベントに誘われても、行かないって思ってました。別に普通に好きなだけだから、とか、そういうこと格好つけて言っちゃうんですよね。そこがもうすでにオタクっぽいんだけど(笑)。この段階の人は、僕の感覚だとまだまだ多いですよ」
しかし、ハマれ。さらば救われる! 根っからのフィールドワーカーだった濱野さんは「現場に行かないとわからないことがある」と、足を運んだAKB48の握手会で、全てのファンが幸せそうにしている空間に衝撃を受けました。そしてアイドルを応援する楽しさを確信したのです。
私はアイドルのファンになったきっかけや理由を聞くのが好きです。アイドルに夢中になるより先に16歳で地下アイドルになり、舞台裏をのぞいてしまったせいで、アイドルファンの話は近いのに遠い世界のことのようで面白いのです。アイドルの応援が楽しくないわけがないと濱野さんも言います。「そりゃあ楽しいですよ。純粋にアイドルを応援している時の気持ちは、恋愛における片思いに似ているし。人は子どもを作らないといけないから恋愛に似た行為は楽しくなるようにできてますよね」
濱野さんの話を聞きながら、ふとファンは私に片思いのような気持ちを持っているのか気になりました。40~50代を中心に、親戚の女の子を見るような目で見守ってくれているファンの人たちです。あんまり恋愛対象にされている感じはありません。「たいていのアイドルは歌や踊りの技術はそんなに高くないから、好きになってもらうには、あの子なんかいいなって思ってもらうしかないですよね。それは恋の始まりに似ています。だから純粋に応援しているファンっていうのは、(本気で付き合いわけじゃなくても)みんなガチ恋だと言っていいと思います」。なるほど、たしかに現場にいるファンの動物的な情熱は恋愛に似ています。
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