辺野古:掘削調査に着手 防衛省、11月終了目指す
毎日新聞 2014年08月18日 11時53分(最終更新 08月18日 13時09分)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画で、防衛省は18日、埋め立て工事海域の地盤を調べるボーリング調査に着手した。移設計画が浮上してから海底を掘削する調査が実施されるのは初めて。防衛省は11月中に調査を終え、今年度中に埋め立てを着工したい考え。しかし、11月には普天間飛行場移設を争点にした沖縄県知事選が控えており、1972年の沖縄返還後初となる大型米軍基地建設は今後も曲折が見込まれる。
防衛省沖縄防衛局は、午前11時ごろ、調査作業を開始したと発表した。
仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事が昨年末、政府による辺野古沿岸部の埋め立て申請を承認し、沖縄防衛局は入札公告を経て5月30日に実施業者と事業費4億4280万円で契約を結んだ。7月17日には調査に伴う岩礁破砕について、沖縄県が「環境への影響が軽微」と了承し、調査に着手する法的環境が整った。
沖縄防衛局は当初、辺野古沿岸部の21カ所を掘削し、9地点に足場のやぐらを、12地点に足場として使用する「スパット台船」を配置する予定だった。だが、今月になって「作業の効率化を図るため」として、やぐらの設置を取りやめて全てスパット台船に切り替え、海底の調査地点も16カ所に減らした。調査は直径116ミリと66ミリの2種類の穴を最深約50メートルまで掘削し、地盤の強さや地質を調べるほか、磁気探査もする、期間中、延べ約1250隻の警戒船を配備する。
防衛省は、現行計画の前身、辺野古沖2.2キロの海上基地計画で2004年9月に環境影響評価(アセスメント)前のボーリング調査を実施しようとしたが、反対派が海上に設置された作業用足場のやぐらに登るなど抵抗し、中止に追い込まれた経緯がある。
こうした抗議活動を抑えるため、政府は米軍提供水域の常時立ち入り制限区域を大幅に拡大する「臨時制限区域」(約562ヘクタール)を初めて設定した。区域内に侵入した場合は米軍施設への侵入などの罰則を定めた刑事特別法が適用される。
政府の計画では、調査・設計に1年、本体工事に5年かけ、機材や施設の整備を経て9年間で辺野古移設を完了する。【佐藤敬一】