辺野古掘削調査:抗議の間隙縫い 「既成事実化」批判も

毎日新聞 2014年08月18日 12時34分(最終更新 08月18日 13時11分)

米軍キャンプ・シュワブの沿岸で始まったボーリング調査=沖縄県名護市辺野古で2014年8月18日午前11時49分、本社ヘリから和田大典撮影
米軍キャンプ・シュワブの沿岸で始まったボーリング調査=沖縄県名護市辺野古で2014年8月18日午前11時49分、本社ヘリから和田大典撮影

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けたボーリング調査が18日始まった。辺野古の海に初めてクイが打ち込まれる作業が始まったことに、移設に反対する市民らはカヌーや漁船に乗って海上で激しく抗議の声を上げ、埋め立て予定地に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前でも大勢の人たちが作業中止を求めて抗議活動を展開した。

 海域での掘削作業は午前11時過ぎに始まった。キャンプ・シュワブ北側の大浦湾沿岸部に設置された調査の足場となる「スパット台船」の中心部から、黒っぽい管状のモノが海中に下ろされたのが確認された。その直前に移設反対派のカヌーや漁船は一時現場を離れており、その間隙(かんげき)を縫うように作業は開始された。近くの砂浜ではもう1基の「スパット台船」の組み立て作業が進み、海域に設置された。

 周辺海域ではこの日も朝から移設に反対する市民らがカヌーや漁船を出し、制止しようとする海上保安庁のゴムボートが取り囲むなど緊迫した状況に包まれた。反対派は「辺野古埋立阻止」「新基地反対」などと書かれたプラカードを掲げて「ボーリング調査やめろ」などと声を上げた。

 ボーリング調査の着手を受け、宮里政玄・元琉球大教授(国際政治学)は「絶対に許せない。できるだけ早く着工して既成事実化させ、11月の知事選で基地問題を争点からそらそうとする政府の思惑がはっきりした」と指摘。さらに「本土の無関心が沖縄の基地問題を増幅させている」とし、大学教授らでつくる沖縄対外問題研究会として、近く何らかの世論喚起をしたい考えを示した。

 一方、辺野古沖に漁業権があり、埋め立てに同意している名護漁協の古波蔵(こはぐら)広組合長は「国策事業として速やかに完了させ、地元の混乱を早く終息させてほしい」と話した。【福永方人、比嘉洋】

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