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 津波で町長ら40人の職員が犠牲になった岩手県大槌町役場の旧庁舎前で、献花台に置かれていたさい銭箱が持ち去られた。管理する男性(43)が16日午後9時半ごろ、さい銭箱がなくなっているのを見つけ、釜石署に届け出た。箱は見つかっておらず、署は窃盗事件として調べている。

 箱は秋田県五城目町の物産協会から1年前に寄贈され、さい銭は献花台の維持管理費に充てられている。6月以降2回、さい銭の盗難事件があり、壊された箱を修理して7月に再び設置していた。台に固定したりチェーンでつないだりはしていなかった。訪れた町内外の人たちから、1日平均5千円ほどのさい銭が寄せられていたという。

 管理する男性は「五城目の大工さんが善意で作って下さった箱で、お金が取られるよりもずっと悔しい。再設置するかどうかは、(遺族や仏教会で構成する)『献花台を見守る会』の皆で話し合って決めたい」と話している。(田渕紫織、山浦正敬)