U−19アジア選手権(10月・ミャンマー)に挑むU−19日本代表が出場するSBSカップを観戦する為、1泊の予定で観戦に行ってきた。かつては、1999年のワールドユース選手権(現U−20ワールドカップ)ナイジェリア大会で準優勝の経験もある日本だが、この年代はこのところ3大会連続で世界大会出場権を逃している。将来の日本サッカーの為にも、今年こそはなんとか出場権を獲得てほしいもの。10月には、ちょうどシンガポールでフル代表のブラジル戦もあるので、ミャンマーに回ってU−19の大会も観て来ようと思っている。

しかし、日本チームは初戦でU−19コロンビア代表に競り負けると、2戦目も静岡ユースに追いつかれて1−1の引き分けと、なんとも渋い内容の試合に終始した。コロンビア戦は、お互いに守備の組織が攻撃力を上回ってスコアレスの状況が続く、まるで「決勝戦のような」重たいゲームだった。一進一退の展開の中で、個人対個人の争いで日本の選手が競り負け、後半に入ると次第にコロンビアが支配し始めた。又、コロンビアは中盤で相手のパスをカットする狙いを持っており、日本も中盤でボールを奪われてショートカウンターで脅かされる場面も多かった。ただ、最終ラインはキャプテンの三浦弦太、内山裕貴を中心に広い範囲をカバーできる選手が多く、なんとか持ちこたえていたのだが、72分(試合は40分ハーフ)、やはり中盤で奪われたボールを素早く展開され、最後は3分前に交代で出場したトップのロドリゲスと、このチームの攻撃の中心キニョーネスの2人のワンツーからロドリゲスに決められてしまった。

コロンビアは、2戦目の韓国戦では立ち上がりに韓国の高い位置での激しいプレッシングに苦しみ、先制ゴールまで奪われたものの、20分過ぎの給水タイムにレストレポ監督が全選手を集めて綿密な戦術的指示を送り、中盤でのパスカットと最終ラインを高く上げることで見事に試合の流れを変えて逆転勝ち。後半は、韓国にほとんどプレーをさせずに完勝した。フル代表の躍進に刺激を受けて、コロンビアのユース年代の強化は着々と進んでいるようだ。

日本代表は、2戦目もさらに渋い内容となってしまい、静岡ユース(県レベルの選抜チームであるうえ、高校生年代の選抜チームだから日本代表より1歳下のカテゴリー)相手に大苦戦。なんとか、カウンターから川辺駿が左のスペースに出した長いスルーパスに越智大和が反応して先制したものの、後半に追いつかれて引き分け(PK勝ち)。2試合を終えた段階ですでに優勝の可能性を消してしまった。

年代別代表を観戦する上で評価が難しいところは、すべての選手がこの大会に招集できているわけではないところにある。この年代のエースであるセレッソ大阪の南野拓実をはじめ、Jリーグでトップチームの試合に出場している選手は招集できず、又、この時期は故障者も多い為、Jリーグやユース代表の選手たちは小さな故障でも無理に出場させることはできない。チーム作りを任された監督としては、たまったものではないだろうが、鈴木政一監督自身、割り切ってこの大会では招集できたメンバーでしっかり戦って「底上げ」にしようという考えの様である。

日本だけではない。韓国も同じ状況のようだ。やはりKリーグでトップチームの試合に出場している選手は招集できていないようで、所属チーム欄を見るとほとんどが大学生(韓国の場合、トップクラスの選手が大学に進む割合が日本より多いのは事実である。そして2年ほど大学に在籍した後、中退してプロに進む選手が多い)。大型センターバックのイム・スンギョムや両サイドバックのパク・ジェウとパク・ミンギュなど好選手が数名いるものの、ミスパスも多く、「高い位置からのプレス」という狙いが空回りして、静岡ユース相手に3失点して敗れ、コロンビアにもほとんどいいところなく連敗してしまった。

韓国は10月のアジア選手権で日本と同じグループに入っており、3戦目で対戦することが決まっている。本番直前にこのような親善大会で顔を合わせるのは異例だが、これはアジア選手権のグループ分けが決まる前に、大会の招待チームが決まっていたから。お互いに、情報をさらけ出すわけにはいかない状態なのだが、両チームとも主力選手が招集できていないのでは、そういう心配もなさそうだ。

さて、2試合を見る限り、10月の大会も予断を許さない。この年代では日本はなかなか韓国に勝てず、準々決勝で韓国と対戦するとベスト4に入れず、世界大会出場権を逃すというのがよくあるパターンだが、今回は韓国と同じグループなので準々決勝で韓国と顔が合わないというのは幸運だ。しかし、中国、ベトナム、韓国と争うグループリーグ突破もそれほど楽観的になれない。

今後、最終合宿までの間に主力選手をどれだけ招集できるかが焦点だが、やはりJリーグの日程との絡みで、なかなか自由に招集できないというのが実際だろう。これは難しいところで、代表強化の為には強制的に招集したいところだが、リーグ戦に出場することこそユース年代を強化する本来の在り方なのも事実である。結局、エース格は本番(アジア選手権)でぶっつけで招集して、チームに融合させざるをえないのだろう。

代表監督としての腕の見せ所でもある。「エースが合流した時のイメージを持って、チーム作りを進め、いざ本番というところでどう機能させるか」という、非常に難しい作業になる。ザッケローニ前監督の評価の所で、僕はこのコラムでも何度か「代表監督とクラブの監督の違い」というテーマについて書いてきた。そう、いつもグラウンドで選手たちと一緒にチーム作りをするのがクラブの監督であり、代表の監督というのは「今ここにはいない選手」を想定し、さまざまなシミュレーションをしながら、短期間でチームを纏めることが求められるのだ。

U−19代表の鈴木政一監督はジュビロ磐田をJリーグで優勝させるなど、実績は十分すぎる指導者だ。数年前に日本体育大学でも監督として見事なチームを作っている。世界大会出場は、鈴木監督に懸かっているということもできる。

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後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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