「嫌われる勇気」という本をご存じですか?世界的にはユング、フロイトと並び評されながら、日本ではほぼ無名なアルフレッド・アドラーの思想をわかりやすく説明したこの本は、発売5ヶ月で30万部のベストセラーとなっています。今回はアドラー心理学を題材とし、「子供が幸せな人生を送るために、親がしてはいけない3つのこと」をご紹介します。
●嫌われる勇気~自己啓発の源流「アドラー」の教え~
アドラー心理学が、なぜ子育てに役立つのか?
アドラー心理学は、幸せに生きるためにはどうしたら良いのかを目的としてアルフレッド・アドラーが提唱した心理学で、アドラーは幸せに生きることを、他人の役に立つことだと定義しています。そして、そのためには、自分のやるべきことに集中し、自分で人生の意味づけができる必要があるとしています。
親なら誰でも、子供には幸せになってほしいと思いますよね。大人になってから人格を変えるのは難しく、最も影響があるのが、親の子供への接し方だとされています。それでは、どういう接し方をすれば、子供が自分のやるべきことに集中し、自分で人生の意味づけをできるようになるのでしょうか?
1.課題に踏み込まず、信じて見守る
1つ目は子供の課題に踏み込まないことです。例えば、勉強しない子供に「勉強しなさい」と言ったり、無理やり塾に通わせたりすることは、課題に踏み込むことです。この場合、勉強しないことの結果を引き受けるのは子供であるため、親の課題ではなく、子供の課題なのです。ちょっと冷たく感じますか?
ただ、子供の課題に踏み込まないとは、子供が何をしているか知ろうとしない放任主義ではなく、子供が何をしているか知った上で、見守ることです。勉強しない子供に対しては、「○○ちゃん、宿題でわからないところあったら、一緒にやろうね」など、本人の意思で勉強したいならいつでもサポートすると伝えます。子供は、親の姿勢から、自分と相手の課題を見分けることを学び、自分の課題は何かを考え、それに集中するようになるのです。口出ししないのは難しいですが、ぐっと我慢して見守ることで、背中で示すということですね。
2.褒めないで、感謝の気持ちを伝える
アドラー心理学では、褒めることを認めていません。「褒めちゃいけないの!?」と子供を持つ親としては驚きますよね!褒めることは「褒めている人の考えを基に、相手を評価している」ことなので、褒められることに慣れてしまうと、子供は褒められることを目的とした行動をとるようになってしまいます。つまり、認められたいという承認欲求が強くなってしまうのですね。例えば、「人が見ていたら、道路に落ちているゴミを拾うけど、誰もいない場所では拾わない」などです。
褒める代わりに、感謝の気持ちを伝えるのです。それも、行為に対する感謝ではなく、存在に対する感謝を伝えることが重要だとアドラーは述べています。例えば、生まれたての赤ん坊は何もできませんが、存在するだけで周りの人を幸せにすることができます。子供は、存在するだけで自分には価値があると思えることで、他者からの評価を気にせずに生きられるようになるんですね。
3.過去、未来を見ず、今に集中する
アドラー心理学では、過去の出来事は「現在」には影響がなく、未来にどうありたいかも「現在」考える問題ではないとしています。子育てに置き換えると、過去の成功体験を褒めることや、明るい未来をイメージさせるのではなく、「現在」を充実させ、「現在」の連続が人生だと伝えることが重要ということです。アドラー心理学では、「今できることに集中して、最善を尽くす」ことが大切で、過去の成功体験や未来のやりたいことは、逆にそれを阻害しうるものだということなのですね。成功体験や夢は瞬間的なパワーは出そうですが、それを継続するのは難しいということなのでしょうか。
例えば、子供が、辞めてしまったスポーツクラブにもう一度入りたいと望んでいるにも関わらず、「過去に辞めたからだめ」「スポーツは将来の役に立たない」などの理由で子供の意思を認めない、ということをしてはいけないのです。子供の「現在」が充実するようにサポートするの親の役割とされています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?子供が幸せな人生を送るために、上記3つの考え方が役に立つとアドラー心理学は教えてくれていますが、実践するのはそう簡単にはいかなそうですよね。全く褒めない、というのも難しい話しではあるので、例えば、過剰に褒めることを止めてみて、毎日寝る前にぎゅっと抱きしめてあげることで、存在してくれていることの感謝を示す、などからはじめてみてはいかがでしょう?
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