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 東京電力、東北電力から近く計2億円を受ける見込みの青森県六ケ所村。日本の原子力政策の中核となる村では、東電福島第一原発事故を経てもなお、電力会社との結びつきは揺るがない。

 村長選が告示された6月17日。村で核燃料サイクル関連施設を運営する日本原燃の川井吉彦社長(70)=6月30日に退任=の姿が、村中心部の選挙事務所にあった。元副村長、戸田衛氏(67)の第一声の場だった。

 「選挙はもう終わったようなもの。圧勝で終わりたい」。そんな声が出る会場に、村議18人全員が顔をそろえた。戸田氏は3期12年を務めた古川健治・前村長(80)の後継候補。ほかに3人が立候補したが、核燃サイクル推進姿勢は戸田氏だけだった。

■村長選、社員だけで1700票

 ある村議は選挙の数カ月前から、原燃の幹部と顔を合わせるたび、社員を選挙に行かせるよう頼んだ。「あまりにも当然だから戸田に入れてくれとは言わない。問題は投票率だけ。前の村長の票を下回ると示しがつかない」

 この村議によると、原燃の社員で選挙権があるのは約1700人いる。村の有権者数は約8700人だ。