2014-08-13 無用な心配の連続
子どもと同じでいいのかな
お盆なので、実家へ帰ったときに、ちょっと気付いたこと。
両親と3人で車に乗って買い物に出かけた。夜に食べるおかずを作ったが、来客があるのでプラスしようということで、献立も決めて、買うべき材料が売っているであろうショッピングモールへ向かったんだが、途中で、母親がこんなことを言いだした。
「やっぱり、みんな、ケンタッキーのチキンの方がいいかしら。若い人は食べやすいでしょ」
それを聞いた父親がしかめっ面をして、
「また、そうやって、適当なことを言って、期待持たせておいて、おあずけなんだ」
「期待持たせてじゃありませんよ。ケンタッキーにしたら、いいかなと思っただけよ」
「そう言っても、行かないじゃないか。思わせぶりな態度だけで」
「あら、こういう案もどうかしら、って思っただけなのよ」
軽くもめはじめたので、
「決めたことは、簡単に変えないの。わけわかんなくなっちゃうでしょ」
と言って気付いた。あ〜、あ〜、そうかと。
娘は、一度決めたことをひっくり返すのが、苦手だ。
例えば、夕飯のメニューを決めたら、そこから別のメニューにいきなり変えたりすると、プリプリ怒りはじめてしまう。理由があろうが、説明を丁寧にしようが、その気持ちの高まりが鎮まるまでは、家の中がとてもいやなムードで満ちてしまう。
「なぜ、決まったことが変わるのが、そんなにイヤなのか?」
というのを、前後の行動や発言から推察するに、
「変更を受け止めるキャパシティがない」
「新しい展開を考えるのがしんどい」
「その変更に備えて、その先を予測するのがつらい」
って辺りではないかと。
この程度の行動でも、大人が思うよりも、ずっと脳を働かせて、神経を使っているので、いきなり全部変更するのは、激怒するぐらい大変な作業なんだって理解しないといかん。
「なに言ってんだ、そのぐらい、我慢しろ」
と外では当然のごとく言われて、反論も下手なのでできないから、黙って受け止めているんだから。家の中ぐらいは楽に過ごさせてやらないとな〜と。気を付けるようにはしているんだけどね。
めんどくさい子たちが「いきなりの変更を苦手」とするように、年寄りもそうなんだなと。ぼけてきた感じがある父親は、歩くのにも転ばないように神経を使っているし、トイレも昔よりは早め早めに行っている。話をふっても、返事が返ってくるのに時間がかかるようになってきたし。いろいろな意味でキャパシティがない。
それならば、娘に接してきたように、キャパシティがないのを前提に付き合えばいいのかと。
父親が醸し出してきたイヤなオーラに気付かず、
「いや、ケンタッキーよりは中華を頼んだ方がよかったかしらん」
などと母親が、混乱を助長するようなことしか言わないので、
「ちょっと待った! 決めたメニューをコロコロ変えるのは、やめようよ」
「あら、私は、こんなのもいいかしらと思っただけよ、変えたいなんて言ってないわ」
「だ〜か〜ら、提案をしたら、それを考えなければいけないでしょ。決めるまでに使った労力を無駄にして、また考える。脳を使うのは実は結構なカロリーを消費するんだよ。『考えるだけだからいいでしょ』とか軽く思わないでね」
「あら、いいと思っただけなのに」
「お互い年寄りなんだから、無駄な労力を使って、疲れてクタクタってならないように、気をつけようってことだよ」
母親は、たぶんよくわかっていなかったが、とにかく、ショッピングモールへ着くと、サクサクと決めておいたものだけ買うようにした。
「あら、ジュースは買わなくていいの? おじいさん」
「アイスも買っておいた方がよくないかしら」
などと母親が余計なことを言ってきたが、
「まずは、家を出る前に決めたものだけ買う。余計なものを買うと、棄てることになるよ」
とたしなめつつ、レジへと向かった。
帰り道に、母親が晴れやかな顔で、
「今日の買い物は、○○○(私)がいて助かったわ。スムーズに買い物ができて、おじいさんとケンカにならなかったし」
と言ってきたので。
「いいと思って、いろいろな提案をしたり、余計なものを買おうとすると、ケンカになるんだよ。なるべくシンプルにすれば、スムーズに終わるよ。紙に買うものと、行くところをリストアップして、おじいさんにも見せて、確認してから出かけなよ。あれもいいな、これもいいなと寄り道して、余計なものを買おうとするから、ケンカになるんだよ」
というような話をした。
「年をとると気難しくなる」や「年寄りは怒りっぽい」ってよく言われるが、めんどくさい子たちに対処するみたいに考えて、動くと、そんなにもめたり、怒られたりしないんじゃなかろうか。
具体的にいえば、
- 1日の予定をリストアップ。やることが一目でわかるようにして、見せる。
- リストアップした予定は極力変更しない。
- 名前ややるべき行動などを写真&文字にしたラベルを貼る。
- 文句や怒りをぶつけられたら、感情で返さず、淡々と紙に書くなど具体的な説明を尽くす。
みたいな、一般的な対処法でも、劇的に変化しそうな気がしてきたな。
例えば、「はみがき」とキャプションを付けた写真を洗面所に貼るとかで、いちいち思い出さなくても、気が付くとか。いいかもしれないなぁとか。
うまくいったら、また報告します。