【阪神】ドラ1岩貞、つかんだプロ初勝利!左肘痛克服
◆DeNA2―5阪神(17日・横浜)
硬かった表情がようやく緩んだ。ドラフト1位左腕・岩貞は、ウイニングボールを手に笑顔で和田監督との記念撮影に応じた。「思い通りにいかない時期があったけど、ようやく1勝できてうれしい」。プロ2度目の先発は横浜商大でリーグ戦を戦った思い出の地・横浜。多くの友人たちが見守る前での初勝利は格別だった。
気持ちで負けなかった。「キャッチャーのサイン通りに投げれば結果がついてくると思った」。初回1死二塁のピンチでは梶谷、ブランコに真っ向勝負を挑み無失点。3回2死三塁でも思い切り腕を振って梶谷を空振り三振に仕留めた。
6回2死からブランコ、バルディリスに連続被弾を許し降板したが、5回2/3を4安打6奪三振。プロ初登板となった10日の広島戦(京セラD)では初球の直球がベースの6メートル手前でワンバウンドした。硬くなって初回に3失点するなど、4回5安打4失点で黒星を喫したが「前回に比べれば緊張しなかった」と笑った。
恩返しの勝利だ。2月中旬に左肘痛を発症し、4か月半をリハビリに費やした。初体験の長期離脱だった。その間、球団の仲野トレーナーを始め、数え切れないほどの人に支えられた。「感謝の気持ちが今まで以上に大きくなった。少し大人になったかなと思う」と人間としても成長した。
実戦復帰は7月2日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦(鳴尾浜)。直後には無料通話アプリ、LINE(ライン)のプロフィル写真を、その日に投げている自身の写真に変えた。「投げている姿を見てほしいのはありますね」。恩返しは自分の元気な姿、そして、何より1軍での勝利を見せることだった。
メッセンジャー、能見、岩田、藤浪の4本柱以外の先発に白星がついたのは7月5日のDeNA戦(横浜)の岩崎以来。「腕の振り、投げっぷりは良かった。この時期に出てきてくれたことは非常に大きい」と和田監督はたたえた。巨人とは1・5ゲーム差に接近。首位追撃へ大きなワンピースが加わった。(酒谷 裕)