(2014年8月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今年はユーロ圏の回復が根付く年になり、雇用を創出し、投資を促進するだけの勢いを取り戻すはずだった。ところが、成長は4~6月期に失速。その結果、ユーロ圏は他の先進諸国に後れを取り、政策立案者が景気停滞とデフレという双子の脅威を一掃するために十分手を尽くしたのかどうかという疑問が生じている。
ユーロ圏の経済はいまだに6年前よりかなり規模が小さく、失業率は2ケタ台で推移し、債務負担は一部地域で高いままだ。
■景気回復に何が起きたのか?
今年はユーロ圏の景気回復がしっかり根を張る年になると予想されていたのに・・・〔AFPBB News〕
第2四半期は、ユーロ圏の中核国での落ち込みが勢いを鈍らせた。ユーロ圏の域内総生産(GDP)の30%近くを占めるドイツ経済は0.2%縮小した。フランスは2四半期連続の横ばいとなった。
域内の2大経済大国であり、合わせてユーロ圏のモノとサービスの半分余りを提供するドイツとフランスは、ただでさえ低くかったアナリストの予想を下回った。
ユーロ圏で3番目に規模が大きいイタリアの経済は、過去6年間で3度目の景気後退に逆戻りした。
中核国が低調だったため、先頭に立って景気を牽引したのはユーロ圏の一部の周縁国だった。だが、スペインとポルトガルはどちらも力強い成長を見せたものの、両国の経済は低い水準から回復している。危機に見舞われたユーロ圏諸国の回復は歓迎すべきだが、こうした国々の経済はユーロ圏全体の運命を復活させるほど大きくもなければ強くもない。
ユーロ圏の上位の経済大国で状況が早急に改善しなければ、周辺国の回復が続くと想像するのは難しい。
■これはただの一時的な現象なのだろうか?
大半のエコノミストは、ユーロ圏経済のエンジンであるドイツの失速は一時的であることがはっきりすると考えている。
第1四半期の経済が0.7%の拡大という異常に強い数字を示したことで、今回の統計が示したほどではないにせよ、ある程度勢いが落ちることは予想されていた。地政学的な緊張がマイナスに作用しており、ドイツ連邦統計局は景気縮小を輸出と投資の落ち込みのせいにしている。