(2014年8月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
クラブ間に存在する大きな富の格差が問題となり、新しい財務規則が導入されたが・・・〔AFPBB News〕
イングランドとスコットランドのサッカークラブの財務担当者らによると、クラブ間の大きな富の格差を埋めるために導入された財務規則は、反対の効果をもたらす恐れがあるという。
イングランドのプレミアリーグと3つのフットボールリーグ、スコットランド・プレミアリーグに所属するクラブの財務担当役員67人を対象に行った調査で、94%の人が大きなクラブと小さなクラブの間の富の格差が拡大していると考えていることが分かった。
イングランド・プレミアリーグでは財務責任者のほぼ80%、フットボールリーグ・チャンピオンシップでは4分の3以上が、格差が広がったと答えた。
クラブが背負える損失の規模に制限を設ける欧州サッカー連盟(UEFA)の「ファイナンシャル・フェアプレー規則(FFP)」は、名門の大手クラブが得る富の割合が高まることを阻止する目的で昨季導入された。
だが、会計事務所BDOの調査では、規則が狙い通りの効果を出していると考えているクラブがほとんどないことが分かった。
大手スポンサー、ブランド力のある名門クラブにマーケティング予算を集中
サッカー界に資金の大部分をもたらす大手スポンサーは、カネをつぎ込む先について目が利くようになっており、自社に世界的な露出を与えてくれるブランドを持つクラブにマーケティング費用を集中させるようになっている。
「イングランド・プレミアリーグの上位6位か7位に入るクラブは、他のクラブより大規模で有利な世界的商業契約を得て、その優位性を固めることができる」。BDOのパートナーで、チェルシー・フットボールクラブの元最高経営責任者(CEO)のトレバー・バーチ氏はこう言う。
全体では、回答者の90%が自分は規則を守っていると述べ、規則が実用にたえると考えていたが、半数近い人が規則の改良や変更が必要だと答えた。だが、回答者のほぼ3分の2は、この規則はサステナビリティー(持続可能性)を促すという主たる目的を達成していないと述べた。
イングランド・プレミアリーグの現チャンピオン、マンチェスター・シティーは今年5月、財務規則に違反したことを理由にUEFAから6000万ユーロの罰金を科され、来季のチャンピオンズリーグではクラブの登録選手数を25人から21人に減らすよう命じられた。