ミッションクリティカルでも革新的であること

https://www.youtube.com/watch?v=Fsfmg5E7Dmg

1 comment | 0 points | by WazanovaNews 約22時間前 edited


Jshiike 約22時間前 edited | ▲upvoteする | link

NASAのDr. Jeff Noriisによる、Midwest.ioでのキーノート講演です。同氏は、ミッションクリティカルなソフトおよびロボット操作技術の専門家で、火星探索のランドローバーの開発を担当。

プレゼンのテクニックもすごくクリエイティブなので、52分のビデオを見る時間をかける価値はあるかと。

基本的には、タブレットをオーバーヘッドプロジェクタのようなかたちで使って、紙のノート / 写真 / 手紙の上に映像を重ねて(ビデオ: 3分37秒〜)ますが、後半では、ホログラムのようなかたちでロケットや地球/月を表現(ビデオ: 37分10秒時点)しています。QualcommのVuforiaをベースにつくった仕組みのようです。

一方、プレゼンの内容も秀逸。

最初のエピソードは、電話機を開発したAlexander Graham Bellの話。当時は、既に電報が商用化されており、一方通行でない双方向の通信手段の開発が期待されていた時代。発明家としては無名のAlexanderは、ドイツの技術書を参考に電話機の開発を試みる。実はドイツ語がよくわからなかったので、書籍の内容を誤解してしまっていたが、逆にそのためにできないという観念がなく、見事に成功。思い切ってチャレンジすることの大切さを説いています。

次は、月に人類を送り込んで生還させるというアポロ計画。未知の世界に人を送って戻すのだから、とにかく安全にという考えが主流で、現にアポロ1号は、高層ビルほどの大型ロケットになる。最終的には、月探査船 + 地球帰還用のカプセル + 噴射ロケットを組み合わせて、ドッキング/切り離しを適宜繰り返し月に行って戻ってくるという手法で成功したが、当初は、「まるでサイエンスフィクション」ということで、安全性/確実性が高いとは見なされず、発案者のJohn C. Houboltの提案にはほとんど誰も耳をかさなかった。

ミッションクリティカルな場面で革新性を求めるとよいかというと、一般的には保守的なアプローチの方が成功確率が高まることが多いように思えますが、本当のブレークスルーを起こすのは、そんな場面を革新性で突破する人々。

ちなみに、宇宙開発はものすごい国家予算を使ってるので、大型予算に対するプレッシャー感が強烈かと思いきや、Jeffはこの講演の中で、「本当は、ここまでやりたかったけど予算がなかった。」というコメントを連発してます。しかし、仲間への責任感は相当強い様子。NASAは、その道数十年という専門家の集まり。Jeffが関わった火星探索プロジェクトにおいても、彼ら全ての達成感は、着陸したランドローバーから無事に映像が送られてくるかどうかでしか確認はできない。できなければ失敗。

大勢の仲間に囲まれて、Jeffは自分のつくったソフトが無事作動し、NASAのセンターが映像を受信できるかを待ちます。

最後のシーンで、はじめて火星から送られてきた写真の映像を見ると、自分もグッときました。

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