ぼくは個人的に何か作ったり、同人活動なんかでチームで何か作ったときに、途中経過を対外的には公開しないで、ギリギリまで秘密にしておく、ということをやっている。このやり方でうまくいったことも失敗したこともあったけど、このやり方が好きなので、今後も変えるつもりはない。
なぜ好きか
秘密にすることで、突然プロダクトが出てきたように演出できて、驚きを与えられる。加えて、こういうカウントダウンを事前にやっておくと、周囲の期待感を高めておくことができる。
この秘密主義は、Appleがよくやっていることだし、ほかにも新作ゲームのお披露目前には謎のティザーサイトが登場することもよくあるから、特に真新しい概念ではない。Appleがやっているから、という理由はなんとなく癪なので認めたくないけど、ぼくはこういう期待感を持たせる演出が好きである。
会社勤めの人なら、情報は基本的に外部に漏らしてはいけないので、当たり前だと感じるかもしれない。しかし、個人で作業をしている間、これは良いものができそうだと感じたときに、誰だって人に見せびらかしたくなるものだ。InstagramやTwitterに進捗の写真を投稿したくなる。が、情報とかアイデアは繰り返し発表するごとに新鮮さが失われていくものだと思う。だから、投稿したい気持ちをこらえて、時期が来るまで周到に用意をする。(ちなみに、いわゆる「定期ツイート」も、鮮度が失われるという理由からほとんどやらない。)
「リリースするまで秘密にしておく」手法で気をつけていることは、なるべく正確に意味が伝わるランディングページを用意することだ。いきなりリリースするということは、これが何なのか、なぜ作ったのか、自分たちは何者なのか、といった諸々の文脈をすべて端折ったことになる。だから、誰でも正確に全容が理解できるページを用意したい。せっかく満を持して告知したのに、つまりこれは何なのかわからない、と言われてしまっては意味がないし、質問されていちいち答えているようでは言い訳じみていて格好わるい。
ここで言っている、「秘密にする」相手は、あくまで一般のユーザーとか読者とかの意味であって、逆にチームメンバーや親しい友人に対しては積極的に情報公開するようにしている。チームメンバーなら情報は共有すべきだし、信頼できる友人に助言を求めると大抵良いアドバイスがもらえる。これより広くご意見募集するのは懐疑的な立場である。これの理由はうまくまとめられる自信がないし、まとめたとしても多分ここに書ききれないので、多すぎる人の声を聞いたところでうまくいったことがほとんどないから、くらいにしておく。
何を作っているかは秘密にしているけど、自分のポリシーとか、考えていることなんかは、なるべく隠さずに発信するようにしている。たとえばこの記事がそれにあたる。ポリシーは、別に誰かにパクられて不利になることもないし、自分のことは公開してあったほうが他人と話を合わせやすいから、あまり気にせず公開している。
とは言うものの、何でもかんでも秘密にしておけばよいというものでもなくて、例えば正式リリース前のベータテストという手法があるのはそれが有効だからだろうし、作ろうとしてるものの重要度とか、スケールとか、環境とか、本人の気持ちとかで、変わってくる話だと思う。文末にこういう予防線を張りたくなるくらい慎重な話題だと思う。