経済産業省は15日、全国の中小企業3万社へのアンケートで、今年度に何らかの賃上げをした企業が昨年度を8ポイント上回る65%に上ったと発表した。「業績回復」より「人材確保」を賃上げの理由に挙げる企業が多く、人手不足の深刻さも浮き彫りになった。

 賃金全体を底上げするベースアップをしたのは全体の23%。賞与や一時金を増やしたのは31%だった。賃上げをした企業の割合は、全国9地域すべてで昨年度を上回り、賃上げの動きが地方の中小企業にも広がっていることがうかがえる。

 賃上げの理由は、「従業員の定着や確保」(76%)が最も多く、次の「業績回復の還元」(29%)を大幅に上回った。政府が実施した復興特別法人税の前倒し廃止や、給与を増やした企業を優遇する税制が賃上げを「後押しした」とした企業は8%にとどまった。

 アンケートは、経産省が6月に全国の中小企業3万社に送り、7月23日までに1万380社が回答した。