プロダクトレポート「SUGOi」(スゴイ) 世界のアスリートを魅了する“バンクーバースタイル”のサイクルウェア
SUGOi(スゴイ)はカナダのバンクーバーで生まれたサイクリングウェアメーカーだ。ファッション専攻の学生だったキャロル・プラントナーが、女性用のショートパンツがない事に業を煮やして、自分で作り始めたのが1987年のこと。それ以降、紆余曲折を経て現在は250名以上の従業員が勤めるウェアカンパニーとなった。昔から変わらないのは「サイクリストが使いたいようなものを作る」という事だ。
先日、10月頃に店頭に並ぶ秋冬モデルの新作発表会を取材した。
バンクーバーのライフスタイルが生んだウェア
バンクーバーの夏は日本よりも日照時間が長く、「夏は仕事が終わったら思い切りスポーツを楽しむ」というライフスタイルが定着している。「仕事が終わったらビール」ではなくて「仕事が終わったらすぐに着替えてバイク!」なのだ。
プレス担当の中村さんによると、バイクを2時間くらい乗ってもまだ日が暮れないので、今度はそのままカフェで食事をするのがの夏の定番スタイルだそうだ。
そんなバンクーバーで20年以上前からサイクリングウェアを作っているSUGOiは、毎日使っても飽きないようにデザインされている。「カジュアルウエアをサイクリングに使えるようにしたもの」とは一線を画す本格派だ。
毎日使うのだから買いやすく、そして快適に
最近のサイクリングウェアの価格はどんどん高くなっている。冬用のジャケットなどは数万円するものも珍しくなくなってきた。しかし、どれほどハイスペックな生地を使っても、ウェア自体の使える期間が長くなるわけではないのが現実だ。
SUGOiはどのラインナップを見ても「お手頃」と言える価格だ。これは「毎日乗りたい」ライダーにはとても嬉しいものだ。
またSUGOiが提案するのが「レイヤリング」(重ね着)という方法である。一枚のウェアに複数の機能を持たせるのではなく、その時の乗り方や気温や気候に合わせて重ね着をして調整するという、登山などのアウトドアアクティビティでは常識とも言える方法である。
冬用のジャージであっても、薄く軽く作られていて、最初から重ね着をする前提で作られているのだ。伸縮性も高く動きを妨げない。
4年連続で「EUベストショーツアワード」を受賞した“スゴイ”パッド
ただ、お手頃感だけを狙ったウェアメーカーではない。とてもこだわっている部分がある。その1つがレーサーパンツの生命線とも言える「パッド」である。初めてサイクリングウェアを買おうと思った動機を思い出してほしい。「お尻が痛くなるのを何とかしたい」と思ってレーサーパンツを買いに行った方は多いはずだ。
SUGOiのパッドのなかで、代表的なフォーミュラーFXパッドのカットサンプルを見せて頂いた。このパッドを使用したショーツは「EUベストショーツアワード」という賞を4年連続で受賞している。
密度の違う2種類のスポンジフォームとウレタンパッドが組み合わされている。スポンジが全体的な衝撃を吸収し、ウレタンパッドが坐骨部の当たりを軽減させている。
皮膚は蒸れることによってふやけて弱くなるので、通気性の確保は重要である。パッド内に空気の通り道を確保しており、蒸れを防いでいる。また、ストレッチ性に優れた素材をベース部に配置する事で、ペダリングによってパッドがずれて肌が擦れるのを防いでいる。
パッドは比較的厚めで、着用時の安心感は高いが、厚みによる違和感があるわけでもないという絶妙な加減だ。これなら200km超えのロングライドでも安心に違いない。
キャノンデール・プロサイクリングもSUGOiを採用
こういった高機能は当然、プロサイクリストからも注目されている。今シーズンは「キャノンデール・プロサイクリング」にチームウェアを供給しており、彼らのレース現場からのフィードバックが製品に生かされている。例えば過酷な暑さにさらされる夏場のレースを乗り切るために、夏用の半袖ジャージには「ゴビ3」という超速乾素材が使用されている。
これはチームウェア専用のスペックだが、販売されるチームジャージは、パッドも含めて選手が実際に使っているものと全く同じものを手に入れる事ができる。レースファンにとっては、機能性が高いばかりでなく、所有欲も満たしてくれる。
プロサイクリストからエントリーユーザーまで、使う人のライフスタイルに沿った製品展開が魅力のサイクリングウェアだ。(レポート 鈴木良則)