自動車大手では双竜(サンヨン)自動車もウォン高で輸出の採算が悪化、韓国内での販売も不振で、赤字に転落した。
鉄鋼業界にも陰りが見えている。技術を不正盗用したとして新日鉄住金に訴えられていることでも知られる韓国最大手のポスコは連結ベースで約7%の営業減益に。単独ベースでは約20%の大幅減益となった。
韓国勢が席巻していた造船業界でも、最大手の現代重工業が1兆1037億ウォン(1103億円)の営業赤字となった。1972年の設立以来、四半期ベースで最悪の業績だ。ウォン安を背景にした韓国の安値受注で日本メーカーは水をあけられていたが、月間の受注実績は今年4月と6月、日本が韓国を上回った。
石油化学関連では、石油精製最大手のSKイノベーションが503億ウォン(約50億円)の営業赤字、石油大手のSオイルも549億ウォン(約54億円)の赤字に転落した。
大韓貿易投資振興公社は、7〜9月期の輸出の先行指標について、今年最低水準の51・3になったと発表。価格競争力に関する指数は4・4ポイント悪化の45・7と、景気判断の分かれ目となる50を割り込んだ。
韓国の主力産業がウォン高で苦境に陥るなか、韓国政府は総額41兆ウォン(約4兆1000億円)規模の緊急経済対策を打ち出した。
柱の一つが、不動産を取得する際の借り入れ規制を緩和だ。住宅投資を刺激し、低迷する内需を活性化させる狙いだというが、『韓国経済崖っぷち』(アイバス出版)の著書がある週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、「住宅ローンを中心に、すでに過去最高に達している家計部門の債務が、一段と悪化しかねない」と副作用の恐れがあるとみる。
もう一つの対策が、企業が内部留保を必要以上に積み増した場合に課税するというもの。設備投資や人件費、配当に回すよう促す狙いだが、勝又氏は「一度課税された後の内部留保に、再度課税するというのは法律論からいってもおかしい」と指摘する。
「効果が疑わしい経済対策しか打ち出せず、外交的には“反日”一辺倒。朴大統領は経済オンチと外交オンチという二重の意味でリーダー失格だ」と勝又氏。朴大統領とともに韓国経済はこのまま失速してゆくのか。