【朝鮮半島ウオッチ】朝日新聞「慰安婦報道」が触れなかったこと (3/3ページ)

2014.08.11


 元慰安婦の女性らが暮らす「ナヌムの家」を訪問し、「日本は軍国主義時代の過ちを否認している」と非難した韓国の尹炳世外相(左から4人目)=1月29日、ソウル郊外(共同)【拡大】

 朝日の特集には、植村氏の義母の「遺族会」幹部であることは書かれているが、金学順さんの裁判の原告団体であったことには一切、触れられていない。強調されているのは、取材源が挺対協で、遺族会とは別団体という事実だ。

 植村氏は取材の経緯について「挺対協から元慰安婦の証言のことを聞いた、当時のソウル支局長からの連絡で韓国に向かった。義母からの情報提供はなかった」とコメントしている。しかし、朝日新聞ソウル支局は、なぜ支局記者に取材させず、大阪社会部の植村記者に任せたのか? 特集はなぜ、金学順さんらの裁判に触れていないのかと疑問だらけだ。

 慰安婦問題を91年以来、追跡してきた西岡力・東京基督教大学教授は次のように述べる。

 「そもそも、慰安婦を女子挺身隊の名で集めたというのが吉田清治氏のウソ証言だった。朝日新聞は吉田氏が著書『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(1983年)を出す前から記事で取り上げ、広めた。吉田氏が加害者で、金学順氏の登場は被害者の登場だった。これが国際社会に“日本の性奴隷”を世界に拡散させた国連人権委員会のクマワスワミ報告書の根拠に使われた。植村氏の記事はその発端だった。誤報というだけではない。義母の裁判を有利にするために記事を書いた疑いもある。私は、若宮啓文・前朝日新聞主筆に慰安婦報道で意見交換をたびたび求めてきたが、若美氏は一度も応じてこなかった」

 大方の朝日慰安婦報道批判は、16度も取り上げた吉田証言について、朝日が一体どう考えてきたのか、植村氏の誤報記事をどう評価してきたのか−の回答だった。編集担当の杉浦信之氏は今回の特集の意味づけを大上段に『慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質です』と述べているが、読者の疑問には答えていない。

 

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