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海上保安庁の黒いボートや、防衛省に雇われた作業船が数十隻。沖合には巡視…
海上保安庁の黒いボートや、防衛省に雇われた作業船が数十隻。沖合には巡視船が10隻ほど控え、目を光らせる。
沖縄県名護市辺野古の海は物々しい空気に包まれている。
抗議行動の小さな船やカヌーは、海保のボートに囲まれると、なすすべもない。体を押さえられ、漁港まで連れ戻された人もいる。
厳戒態勢の下、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古への移設工事が動き出した。防衛省は立ち入り禁止区域を示すため、ブイなどの浮き具設置作業を続けている。終えると海底ボーリング調査を始める。
菅官房長官は「粛々と進める」と繰り返すが、現地では、何が何でも移設工事を進めるのだという政府の強引さばかりが目につく。地元の人には「異様な光景」と映る。
政府は、移設先の米軍キャンプ・シュワブ周辺の立ち入り禁止区域を大幅に拡大。埋め立て予定地が丸ごと収まるよう沖まで浮き具を巡らす。この中に反対派が入れば、刑事特別法での摘発も検討している。
ここまで厳重な対策を取るのは、2004年に海底ボーリング調査を試み、反対派の激しい抵抗で調査が中止に追い込まれた苦い経験からだ。
だが、この強硬な手法は、米軍、そして日本政府に対する沖縄県民の反感を、ますます増幅させている。
米軍統治下、米軍は県民に銃剣を突きつけ、ブルドーザーで家屋や農地をつぶし、沖縄に基地を広げた。その記憶が呼び覚まされ、「日本政府版『銃剣とブルドーザー』だ」と表現する人さえいる。
11月の沖縄県知事選には、辺野古埋め立てを承認し移設を推進する現職と、移設に反対する新顔らが立候補する見込みだ。
政権側には、工事を進めて既成事実を積み重ね、現職有利に持ち込みたい意図がある。あるいは、反対派に敗れても基地建設は止まらない、と予防線を張っているようにも見える。
移設反対を掲げ、今年1月に再選された地元名護市の稲嶺進市長は「地元に丁寧に説明をし、理解を得るとしながら、地元への情報提供もないまま強行するとは」と反発を強める。
このまま対立が進めば、沖縄の反基地感情は修復不能なまでに高まるだろう。不信感に覆われた安全保障政策が果たして機能するのか。
政府はボーリング調査を強行するより、地元との対話に乗り出すべきだ。これ以上、沖縄との亀裂を深めてはならない。
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