疑ってごめんよ、シリア。
2年近く前にシリア全土でインターネットが遮断された件。国内のネット状況から、シリア政府がこの事件を引き起こしたと思われたのですが、実は米国家安全保障局(NSA)の仕業だったと、メガリーカーのエドワード・スノーデンがWired最新インタヴューで話してます。
NSAは内戦のシリア情勢に探りを入れるため、シリア国内最大(かつ事実上唯一)のISPにバックドアをこしらえようと企んでいたようです。「このバックドアさえ設定すればシリア国内のデジタル通信はほぼ全部アメリカに筒抜けという、未曾有の情報アクセスが掌握できる。アメリカは諜報で圧倒的な優位を得るはずだった」(TIMEのWiredの記事要約より)
ところがプラン通りに事は進みませんでした。どこをどう間違ったか、NSAはルーターをブリックし、結果としてシリア全土のネットがブッチーンと切れてしまったのであります。
その時の模様を、Wiredはこう書いてます。
TAOオペレーション本部の中では、パニックした政府のハッカー集団が「oh shit(おーくそったれ)」状態(スノーデン談)となった。
我先に死に物狂いで遠隔からルーター修復を試み、足跡を消し、ネットワークへのアクセスに使った高度な侵入ソフトウェアがシリア人に見つからないよう手を尽くす。が、いかんせんルーターをブリックにしちゃった後なので、修復しようにも手も足も出ないのであった。
しかしNSAはラッキーだった。シリア側は国内のインターネットを復旧する方で忙しくて、遮断の大元の原因を辿るところまでは手が回らなかった。
TAOオペレーション本部では、こんな本気とも冗談ともつかないジョークが飛んで、それまでの緊張が一気に解けた。「見つかったら、またイスラエルがやったことにすればいいさ」
このシリアのネット遮断に関して、NSAはWiredにコメントはしていません。ここまで書かれてしまってはダメージは相当なもの。今さら何を言っても焼け石に水かな。
Ashley Feinberg - Gizmodo US[原文]
(satomi)
- スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実
- ルーク・ハーディング Luke Harding|日経BP社
- PRISM事件 世界を監視するプログラムとスノーデンの告発
- 茂田 徹郎|技術評論社