＜コメ産地偽装＞元社長、釈明ないまま　組織的に書類操作

(毎日新聞)

　三重県四日市市の米穀販売「三瀧（みたき）商事」による国内最大規模のコメ産地偽装事件で、県警は元社長の服部洋子容疑者（７８）ら４人を不正競争防止法違反の疑いで１４日逮捕した。同社を中心に関連会社などが複雑に書類をやり取りして、外国産米が国産米に化ける「ライスロンダリング」が行われた。発覚以来、公の場で一度も釈明せずに逮捕された服部容疑者は「関係ない」と容疑を否認しているという。

　捜査関係者などによると、コメ偽装は関連会社を経由し組織的に行われていた。まず三瀧商事が仕入れた中国産米を、関連会社「ジャパンゼネラル」に中国産米として架空販売。両社は納品書などを偽造し、この中国産米を国産米として三瀧商事が購入したように見せかけた。取引は書面上で、実際にコメが動くことはなかった。

　偽装米は関連会社「ミタキライス」で国産米とブレンドしたほか、三瀧商事が「国産」と偽って取引先に直接販売した。ジャパンゼネラルは見返りに１俵（６０キロ）あたり５０円の利益を得ていたという。

　三瀧商事は「稲垣製茶」「榊原商店」（共に四日市市）などから仕入れた加工用米を、ジャパンゼネラルとの架空取引で主食用米に「用途偽装」するなどしていた。県警は稲垣製茶と榊原商店も偽装に関与した疑いがあるとみて調べている。

　民間信用調査会社によると、服部元社長は銀行員を経て１９６２年に三瀧商事の先代社長と結婚。専務取締役に就任した後、７９年からミタキライス社長、９６年から三瀧商事社長を兼任していた。コメ偽装発覚に伴う昨年１０月の会社解散後は代表清算人を務めていた。

　服部容疑者は容疑を否認し、逮捕された元取締役２人も「服部容疑者は関係ない」と供述しているという。だが、ジャパンゼネラルは「服部容疑者らの指示で行った」と県に報告。三瀧商事関係者は「消耗品一つ買うにも社長の了承が必要だった。社長が偽装を知らなかったわけがない」と話す。服部容疑者は「心労で体調を崩し療養中」として名古屋市内の知人宅に身を寄せていたという。【岡正勝、永野航太】