August 15, 2014
今週トルコの海岸に双頭のイルカの死骸が打ち上げられ、インターネットで話題になっている。
「Journal of Wildlife Diseases」誌に掲載された2008年の研究によると、イズミル市内で旅行者が発見したその異常な海洋哺乳類は、イルカで見つかった結合双生児の5例目、さらに胎児期を越えて生存した例としてはたった3例目にあたる。
結合双生児は通常子宮内で死んでしまうので、どれくらいの頻度でイルカやクジラにこれが起こるのかは分かっていないと、米国海洋大気庁(NOAA)海洋哺乳類・ウミガメ部門の生物学研究者ケリー・ダニル(Kelli Danill)氏は説明する。
結合双生児はヒト、野鳥、爬虫類、両生類、魚類、そして家畜や実験動・・・
「Journal of Wildlife Diseases」誌に掲載された2008年の研究によると、イズミル市内で旅行者が発見したその異常な海洋哺乳類は、イルカで見つかった結合双生児の5例目、さらに胎児期を越えて生存した例としてはたった3例目にあたる。
結合双生児は通常子宮内で死んでしまうので、どれくらいの頻度でイルカやクジラにこれが起こるのかは分かっていないと、米国海洋大気庁(NOAA)海洋哺乳類・ウミガメ部門の生物学研究者ケリー・ダニル(Kelli Danill)氏は説明する。
結合双生児はヒト、野鳥、爬虫類、両生類、魚類、そして家畜や実験動物ではよく見られるが、この胎児異常は野生哺乳類では極めて珍しいものだ。1671年から2006年までの間に、たった19例しか知られていない。ダニル氏は、小型海洋哺乳類における結合双生児の比率は1%未満であると推測している。
上述の研究論文によると、海洋哺乳類で結合双生児が見つかるのはほとんどの場合、妊娠しているメスを解剖したときだという。
◆結合双生児
双子の体が融合する可能性のある場所は8カ所ある。今回トルコで見つかった双子は、側所結合体の一種である二頭体(Parapagus dicephalus)に分類される。結合双生児で最も多い症状であり、双子が1つの体を共有し、頭が2つある状態だ。
「このタイプの双子は泳いだり呼吸のために浮上したりすることが難しいため、自然界では長く生きられない」とカリフォルニアを拠点とする非営利団体、海洋哺乳類センター(Marine Mammal Center)の獣医学主任ショーン・ジョンソン(Shawn Johnson)氏は語る。
ミンククジラやイワシクジラなど他の海洋哺乳類では、胸部で結合し2つの頭と2つの尾を共有する場合が多い。コククジラ初の結合双生児は今年1月、メキシコ、バハカリフォルニアのオホ・デ・リエブレ湖の浅瀬に浮かんでいるのを発見された。このタイプの融合では、クジラの噴気孔が左右を向いているため水面下に沈んだままになり、生存するチャンスは全くなくなってしまう。
◆胎児内胎児
加えて「胎児内胎児(fetus in fetu)」も存在すると、海洋哺乳類センターの広報担当サラ・ファン・シャーヘン(Sarah van Schagen)氏は語る。先天性奇形の胎児内胎児(封入奇形胎児)では、双子の胎児の片方が完全にもう片方の体内に閉じ込められてしまう。
1999年、海洋哺乳類センターはカリフォルニア州モントレー郡のペブルビーチで頭蓋骨の大きなゼニガタアザラシを保護した。さらに調査した結果、この頭蓋骨の中には アザラシの双子の胎児が内包されていることが分かった。
「当センターの熟練した獣医師が双子を摘出する手術を行ったが、その宿主であるゼニガタアザラシのハニーデュー(Honeydew)は術後数時間で死んでしまった」とファン・シャーヘン氏は話す。
その後、宿主の子アザラシの脂肪に高濃度のPCBやDDTが含まれていることが分かったが、奇形のはっきりした原因が究明されることはなかった。
(双頭イルカの写真を含むThe IndependentのTwitterページ:i100.io/ap00ceM)