辺野古ブイ設置:政府、沖縄知事選前に作業加速
毎日新聞 2014年08月14日 23時06分(最終更新 08月14日 23時35分)
防衛省は14日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設に向けて、日米地位協定などに基づいて拡大した立ち入り制限区域の境界にブイ(浮標)とフロート(浮き具)を設置する作業を始めた。作業は2、3日ほどかかる見通し。防衛省は近く、埋め立て海域の地盤を調べるボーリング調査に着手する。
防衛省沖縄防衛局によると、午前7時35分ごろに一つ目のブイを設置した。反対派は小型船やカヌーで作業現場への接近を試みたが、海上保安庁や沖縄防衛局のゴムボートが取り囲んで阻止。名護市の稲嶺進市長は「激しい憤りを禁じ得ない」との談話を出した。
辺野古沖では2004年9月、反対派の抵抗でボーリング調査が中止になった経緯がある。政府は今回、米軍提供水域の常時立ち入り制限区域を大幅に拡大する「臨時制限区域」(約562ヘクタール)を初めて設定。侵入した場合、米軍施設への侵入などの罰則を定めた刑事特別法が適用される。
政府の計画では、調査・設計に1年、本体工事に5年かけ、機材や施設の整備を経て9年間で辺野古移設を完了する。政府関係者はブイの設置作業について「日米で合意された移設計画の作業の一環」と強調。県内移設の是非が最大の争点になる沖縄県知事選を11月に控え、移設事業の既成事実化を急いでいる。
昨年12月の移設受け入れ表明後、仲井真弘多知事に対する県民の反発は根強く、3選を目指す選挙戦も苦戦が予想される。政府筋は知事選について「仮に移設反対派が勝利すれば、強硬策は取りづらく、移設が遅れる可能性が高い」と危機感を隠せない。
しかし今後、海底ボーリング調査が始まれば、反対派の抗議活動が強まるのは必至。知事選でも県内移設の是非がさらに焦点化するのは避けられない。ブイの設置作業に関し、安倍晋三首相は14日、特にコメントしなかった。【佐藤敬一、鈴木美穂】