辺野古ブイ設置:「国の必死さ、恐ろしい」
毎日新聞 2014年08月14日 18時49分(最終更新 08月14日 21時37分)
穏やかな恵みの海が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設作業で緊迫した。立ち入り制限区域の境界を示すブイ(浮標)やフロート(浮き具)の設置は、小型船やカヌーに乗った移設反対派と、警戒する海上保安庁がにらみ合う中、始まった。
反対派は14日朝、漁船3隻やカヌーで名護市の汀間(ていま)漁港などを出航。何度も作業現場に接近しようとしたが、海上保安庁のゴムボートなどに囲まれて阻止された。
反対派が乗る抗議船の船長を務めた名護市のエコツアーガイド、仲宗根和成さん(35)によると、常にゴムボートや小型船にマークされ、拡声器で「臨時制限区域なのでこれ以上近づかないでください。近づけばしかるべき措置を取ります」と警告を受けた。時には10隻近くに囲まれたという。
仲宗根さんは「国の必死さを感じて恐ろしかったし、悔しい。でもこのきれいな海が埋め立てられたらエコツアーもできない。明日以降もあきらめずに船を出す」と話した。
辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前では最大約350人による抗議行動が続いた。「新基地反対」「辺野古埋立阻止」と書かれたプラカードを掲げ「ブイ設置許さん」「埋め立てやめろ」などとシュプレヒコールを上げた。
名護市の南隣、宜野座(ぎのざ)村から来た島田美代子さん(66)はこの日、孫3人を連れてきた。「沖縄が置かれている状況、そして大人たちが新基地建設に反対していることを見てもらいたいと思った。いつまで沖縄は犠牲になるのか。ブイ設置はとても悔しくて、ワジワジ(怒り心頭)する」と憤った。
一方、移設を条件付きで容認している辺野古代替施設安全協議会の許田(きょだ)正武代表理事(45)は「国や県は地元の発展につながるならという苦渋の思いで容認している住民のことをよく考え、辺野古の経済や雇用を支援してほしい」と訴えた。