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夏の思ひ出 作者:諏訪実

夜景

 夜だった。
 直径百メートル位のコンクリート打ちっぱなしの円形の室内。天井は高い。三メートル位ある。
 支柱はどこにも見当たらない。
 外壁は、全面ガラス張りになっている。
 眼下に明るい都会の街並みが見える。首都高や超高層ビルや数え切れないくらいの建築物。遠くには夜の海の水平線が見える。
 都会の明かりのせいで、星は殆ど見えない。
 広い円形の室内の中央に、セミダブルのベッドがひとつ置かれている。
 ほかには何もない。
 あたしはセーラー服を着て、貴人の前に立っていた。
 貴人は学生服だ。
「ここが僕の部屋だよ」と、貴人が言う。
「ずいぶん殺風景な部屋ね」
「きれい好きだから」
 会話が成立してない。
 ここは落ち着かない。気分がザワザワする。
「座りなよ」
 言われるがまま、貴人の隣りに座る。
 貴人がキスしてくる。舌が絡まる。快感に頭がとろける。
 ベッドの上に押し倒された。心臓の鼓動が早くなる。
 貴人の手をとって、あたしの胸にあてる。
「ほら、こんなに心臓がドキドキしてる」
「僕もだよ」
 セーラー服のスカーフをほどかれて、前ホックを外される。
 そのまま万歳をする形で、セーラー服を脱がされた。
 次はスカートを脱がされて、下着姿になった。
 ブラの上からおっぱいを揉まれる。
「くふぅん」
 思わず声が出てしまう。あたし、感じてる。
 フロントホックのブラをはずされて、勢いよく白い乳房が飛び出す。
「恥ずかしい」
 ここ、窓にカーテンがないから、外から見られてしまうのでは?
 でも、貴人はそんなことを気にしてない様子だ。
「暗くして」
 貴人がベッドの脇のサイドボードにあるリモコンを手に取って天井の明かりを消した。
 今度は床が青白く仄かに発光する。まるで海の上に浮かんでるみたい。
 あたしは、おっぱいを揉まれて気持ちよくなっていた。
 アソコから愛液が染み出す。
 そのとき、段々と部屋が暗くなってることに気付いた。
 全てが闇に包まれていく。
 貴人の身体も真っ黒になっていく。貴人の顔が真っ黒に塗りつぶされて消えた。
「貴人!どこ?」
 自分の身体も真っ黒に染まっていく。
 手の指先から腕、どんどん黒く染まっていく。脚の感覚がなくなる。腕の感覚がなくなる。
「きゃあああああああ」
 あたしは悲鳴をあげていた。
 そして、そのまま意識を失った。

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