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週刊・上杉隆

早く陛下が参拝できる環境を
靖国問題を長年放置してきた政治の罪

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]
【第90回】 2009年8月20日
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 「国立追悼施設の建設については、具体的にどこまで詰められるかという問題があるのかもしれません。しかしながら、無宗教で、どなたでも、わだかまりなくお参りできる追悼施設が必要だという考えに変わりはありません。民主党が政権を取ったら、できるだけ早く作って参りたいと思います」

 じつは麻生首相も無宗教の追悼施設建設を望んでいる。首相になる前、靖国の無宗教化の考えを雑誌に寄稿したりもした。いずれにせよ、今回の総選挙の結果がどうであれ、靖国神社の問題は大きく動く可能性がある。

天皇陛下の参拝は
遺族会の悲願

 だが、その方向性は、日本遺族会がもっともおそれるものなのだ。

 終戦記念日、鳩山代表は、新潟県長岡市内での記者会見でこう述べている。

 「天皇陛下が靖国神社に長い間、行っていないという現実があります。陛下も大変つらい思いでおられると思います。陛下にも心安らかにお参りしていただける施設が必要ではないでしょうか。党としても取り組んでいきたいと思います」

 遺族会にとって、鳩山氏のこの発言は、半分で核心を突き、半分で戸惑う結果になっている。

 長い間、日本遺族会の方針が、内閣総理大臣の靖国参拝であることに変わりはない。だが、実は、その裏には、天皇陛下の靖国参拝という悲願がずっと隠されてきている。

 本来ならば陛下の参拝は運動方針の筆頭に掲げたい。ところが、陛下にお願いするというのはあまりに恐れ多いということで、それは方針ではなく密かな願望としてすべての会員たちの胸におさめられてきたのだ。

 なによりも、天皇陛下の英霊へのご顕彰、それが日本遺族会にとっての「悲願」なのである。

 1975年を最後に、天皇の靖国参拝は途絶えている。参拝中止の理由は「富田メモ」や国立国会図書館が編纂した資料(2007年3月 新編・靖国問題資料集)でも明らかなように、いわゆるA級戦犯の合祀にある。

 ジャーナリストの桜井よしこ氏をはじめとする保守論壇の中にはこの見解を認めない者もいる。天皇の参拝中止は、いわゆるA級戦犯の合祀とは無関係であるという立場だ。だが、それは間違いだろう。

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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


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