間もなく69回目の「終戦の日」が巡ってきます。集団的自衛権の行使容認が閣議決定された今、親子で戦争や平和について考えてみませんか。空襲犠牲者の名前を刻んだ慰霊碑や戦争の悲惨さを伝える資料館など、子どもと一緒に足を運んでみてはいかがでしょうか。(中島摩子、貝原加奈)
【アンネのバラの教会(西宮市)、ユダヤ人迫害の歴史伝える】
「アンネの日記」で知られ、第2次世界大戦中にナチスによる迫害の犠牲になったユダヤ人少女、アンネ・フランクの遺品などを収めた資料館が、西宮市甲陽園西山町の「アンネのバラの教会」にある。前庭には、アンネの父、オットー・フランク氏から贈られたバラ50株が、葉を茂らせている。
資料館には、アンネが愛用した切手入れやスプーンなど、貴重な遺品を展示。15年9カ月の生涯や、「アンネの日記」の言葉、ユダヤ人迫害の歴史も分かりやすく紹介している。
見学は親子連れが多いという。同教会の坂本誠治牧師(52)は「収容所で亡くなったユダヤ人の子どもは150万人。全員で両手をつなぐと、北海道から九州までの距離になる」と、小学生にも理解できるように伝える。
坂本さんは「苦境の中でも、希望を持ち続けたアンネの生きざまを感じ、平和をつくりだす人になってほしい」と話している。
資料館の一般公開は原則土曜午後1~5時だが、相談に応じる。15、16日は午前10時~午後5時に公開。無料、要予約。同教会TEL0798・74・5911
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【神戸空襲の慰霊碑(神戸市)、犠牲者の生きた証し刻む】
神戸の街が焼け野原になり、市民8千人以上が亡くなったとされる神戸空襲。犠牲者の名前を刻んだ「いのちと平和の碑」が、神戸市中央区楠町7の大倉山公園に立つ。15日で完成から1年を迎える。
市民団体「神戸空襲を記録する会」が、長年かけて犠牲者名簿を作成した。「生きた証しを」と、これまでに1910人を刻んだ。
名字だけや「富松よっちゃん」といった通称、「保月クリーニング店」など、正確な情報が分からないものもある。しかし、それぞれに大切な人生があり、家族があった。
13歳で亡くなった姉長子(ちょうこ)さんの名前を見つめるのは、明石市大久保町大久保町の石野早苗さん(78)。自身は9歳で空襲に遭った。
1945年3月17日未明、祖父が住職だった「薬仙寺」=神戸市兵庫区今出在家町4=の防空壕(ごう)から出ようとしたとき、焼夷(しょうい)弾の直撃で右腕を失った。
「おててがなくなっちゃったよ。字が書けないし、学校に行けないよ」と叫ぶ石野さんを、母や父が抱いて火の海を逃げたという。行方不明だった長子さんは4年後、境内で遺骨が見つかった。
碑の前に立つと、「みんな平和に生活できるはずだったのに、何の罪もないのに、命を奪われた。やりたいこともあっただろうに」と無念が込み上げる。
石野さんは「もう二度と」という思いから、小学校などで体験を語っている。「一般市民が犠牲になるのが戦争。その残酷さを、子どもたちに知ってもらいたい」と強調した。
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