松代大本営地下壕(ごう)(長野市松代町)を紹介する説明板の朝鮮人労働者に関する記述をめぐり、長野市が「強制的に」の部分にテープを貼って見えないようにした問題で、市は12日、内容を再検討していると釈明する張り紙を説明板に掲示した。
市は松代大本営象山地下壕入り口と、気象庁松代地震観測所(同)にある説明板について、テープを貼った部分の前後がどのような記載かを説明し、「『全員が強制的ではなかった』などの見解がある」として内容を再検討している、との張り紙を掲示した。「強制的に」の部分に貼ったテープはそのままで、再検討の結果が出るまで掲示を続けるとしている。
一方、荒井恵子・市商工観光部長は12日、「まずは庁内の検討会を大至急、設置する」と述べ、庁内組織で説明内容を見直す方法の検討を急ぐ考えを示した。共産党市議団がテープを貼った経緯などを説明するよう樋口博副市長らに申し入れた際に答えた。
荒井部長は、2012年12月に大本営のパンフレットを増刷する際、市観光振興課と市教委文化財課、地下壕を研究する長野俊英高校(長野市)郷土研究班で協議し、「(朝鮮人労働者の)全てが強制的だったと解釈される」として、「強制的に」の文言を削除したと説明した。
樋口副市長は「(文言の削除は)われわれも認識しておらず、課の担当者レベルで処理した部分があり、こうした問題に対する職員の認識が甘かった」と述べた。
市はこの日、いったん「この説明板は、現在、説明内容を再検討しています」との張り紙を掲示したが、共産党市議団の申し入れなどを踏まえ、「再度検討し、より内容を丁寧に説明する」として交換した。