陸軍第28師団所属の兵士2人が11日に心中(自殺)したのに続き、12日には第3軍司令部所属の兵士が小銃で自殺した。3人はいずれも徴兵時の適性検査において、部隊での生活に適応するのが困難な「関心兵士」と判定されており、第28師団の2人は関心兵士のA級とB級、第3軍の兵士はA級に分類されていた。実際に3人はこれまでも任務の遂行中にうつ病を発症して心療内科治療を受けたことがあり、うち2人は自殺未遂を起こしたこともあったという。
関心兵士は所属された部隊において周りの環境や任務に適応できないケースが多いが、中でも「自殺を考えたことがある」とか「実際に自殺未遂に至ったことがある」場合は「特別管理対象(A級)」に分類され、現在その対象者は8634人いる。また「性格に問題があり、いじめなどを起こす可能性がある」と判定された場合は「重点管理対象(B級)」とされ、その対象者は現在1万9530人いるという。さらに「虚弱体質で特異な性向を持つ」とされるC級は5万人いるが、これには入隊から100日未満の二等兵はすべて含まれている。これらA級、B級、C級をすべて合計すると8万人に達し、これは現在の韓国軍における現役兵全体の23%に相当する。ちなみに昨年は32万人が新たに入隊したが、そのうち2万6000人は徴兵検査の際に心理面で異常の兆候が認められたにも関わらず現役兵とされた。現在、新規の徴兵対象者で現役兵とされる割合は90%以上と非常に高くなっているが、これは少子化の影響で徴兵対象者の絶対数が減少しているためだ。つまり現在の韓国軍の現状は、少しばかり問題があってもまずはとにかく入隊させ、もし実際に何らかの問題が発生した場合は、所属する部隊が「関心兵士」に指定して管理することになっているのだ。
現在行われている徴兵検査は、対象者本人が「自分は何らかの疾病を患っている」と自ら申告した場合、追加の検査を行って本当に問題があるかどうかを判定する方式となっている。精神疾患の判定には200項目の設問からなる問診票を記入させ、その上で10分前後の心理検査を行っているが、今後は医療担当者を大幅に増やし、より詳しい検査を行うことで、兵役の任務を果たすのが困難な者を事前に把握できるようにしなければならないだろう。
現場に配属された後は現場の指揮官が兵士たちの状態を把握し、必要な場合は関心兵士に指定して管理を行っている。しかしこの調査は家庭環境など限られた項目しか調べず、その上で関心兵士とするかを指揮官が恣意的に判断するケースが少なくない。第28師団で兵士殴打事件を起こした加害者側の兵士の1人は憲兵隊での取り調べで「(暴力行為を告発すれば)関心兵士に指定されると思い、報告しなかった」と証言している。
韓国軍当局は関心兵士のうち毎年およそ1500人を「任務の遂行には不適格」と判定し、早期除隊などの措置を下している。陸軍では今月からこれらの判定にかける時間を2-3週間に短縮し、手続きも簡素化した。しかしこのような形での早期除隊が今後増えれば、他の兵士たちの士気を低下させ、あるいは判定の際に何らかの不正が行われる恐れが出てくるだろう。しかし突然大きな問題を起こす可能性を抱えた時限爆弾のような兵士に武器を渡し、任務に就かせることはさらに大きな問題だ。韓国軍当局はこの機会にA級とB級の関心兵士全員を対象に改めて実態調査を行い、任務の遂行に耐えられないと判断した場合は直ちに除隊させなければならない。